ドント

予言のドントのレビュー・感想・評価

予言(2004年製作の映画)
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 2004年。娘を事故で亡くし妻とも別れ、無気力な人生を送っていた高校教師の男、ある日突如として明日の惨事を記した新聞が届く。それは事故の直前、男が手に取っていた新聞の切れ端と似たモノだった。娘はその切れ端に書いてあった通りの死に方をしたのだ……この新聞は、なんなのか……?
『リング』などのヒットを受けて、「よっしゃ、これからは日本もホラーやで!」と勢いづいて作られたシリーズ「Jホラーフィルム」の第2弾。つのだじろう『恐怖新聞』が原作ではあるが、独自のアレンジが施したまったくの別物と言ってよい。オカルト大事典だった『恐怖新聞』にドラマ性とかホラー味を足した映画で、そんなに悪くはない、面白い映画ではないだろうか。あんまり怖くはないんだけれど。
 ストーリーは言うたら王道、やろうとしていることは興味深いし、ハッとするような場面やショットも少なからずある。事故のシーンや焦げた和室など素晴らしい。終盤の恐怖新聞による超時空・三上博史いじめは人間の理を越えた力が発動していてダイナミックさと恐怖を兼ね備えた秀逸な流れだと思う。「こうきたか!!」という興奮があった。
 のだが、なんだか全体に締まらない感じがする。節々がなんだかゆるいのである。散りばめられた恐怖のツボ、怖さのポイントが微妙にズレていて、「うおっ。あれっ、そう……?」「うわっ。うん? ふぅん……」みたいなリアクションになる。一反木綿みたいな勢いで空を飛ぶ恐怖新聞には笑ってしまった。やりたいことは怖いはずが、できたものが何だかフガフガなのだ。
 ゆるくてフガフガなので、三上博史の戦慄顔面芸とか王道を辿るストーリーなどが上滑りして、なんとも言えぬ間延び感がある。もうちょいこう、水でキリッと引き締めて出されていたら相当に美味なホラーになっていただろう。惜しい。とは言え近年の観ると疲労感が生じるようなホラーと比べたら全然よいのではないかと思った。高港基資先生の「予知した惨劇を回避したら一体どうなるんですかね?」というネタの禍々しい某短編マンガはここから派生した作だと思う。
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