カテリーナ

首のカテリーナのレビュー・感想・評価

(2023年製作の映画)
4.1
「短距離走のように駆け抜けて欲しい」
北野武監督からの言葉どおり
加瀬亮の織田信長役の尋常じゃない弾けた芝居が『アウトレイジ』以上に狂ってて嬉しくてニヤニヤが止まらなかった
織田信長に責められてお城から喘ぐ声がこだまするこじんまりまとまってる蘭丸役は寛一郎
劇場公開が待ちきれず
監督や出演者のインタビュー、予告編や
舞台挨拶などをたっぷり摂取した
BSでたまたま放送してた『その男、凶暴につき』や『ソナチネ』も鑑賞『その男、凶暴につき』はラストシークエンスのたけしの倒れ方のあっけなさに毎度痺れる
『ソナチネ』の
大杉漣が砂浜に作った落とし穴にまんまと落ちる時の表情や仕草が本当に可笑しくて いつ見てもシリアスな後半よりギャグ満載の前半が好きだなぁ 
『3-4×10月』は主演の男の子の顔が嫌いで何度挑戦しても途中で見るのをやめてしまう
『首』は今までの北野ブルーと呼ばれる
若干乾いたセンチメンタリズムを封印し
やや熱量の高さを感じた
惜しげもなく男色の濡れ場を描くことで
乾いた感じは生々しさに変わる
NHKで放送してる大河ドラマでは絶対見られない過激で汚れた時代劇
川に投げ出された無惨な死骸の映像は
切断された首に群がるサワガニが貪る音でこれでもかと顔をしかめる映像ばかり続きオープニングからワクワクが止まらない
私は突っ立ったままの大人しい台詞を
話すだけの時代劇はいらないんだ

『この男、凶暴につき』でチンピラとして出演していた遠藤憲一がその後一作も
北野監督から声がかからないと訴えていた動画を見たばかりだったので荒木村重の重要な役所をゲットした事に私は密かに喜んでいた 明智光秀の西島秀俊との濡れ場も違和感無し
これはバカリズムに感謝したいなぁ
(『地獄の花園』の赤城涼子のビジュアルで下地ができたのか或いはもっと前からなのか不明だけど)
『クライマーズ・ハイ』や『DISTANCE』で際立った存在感を放っていた彼を心の中で応援してた私が
喜ばない訳がない
町山さんが『首』に限らず北野武の映画が秀逸なのはキャストがハマってるからだと言及していて納得深く頷いた
浅野忠信、西島秀俊、大森南朋、中村獅童は言うまでもなく 北野組初参加の
木村祐一の突出した旨さには度肝を抜かれた 本心を隠し飄々と秀吉の言いなりになる、なりながらも「お前らみんな、あほか」の台詞が効いている これから彼が出演してる映画をチェックしたくなっちゃうなぁ
『アウトレイジ』の作品中ただひとり爽やかな風を吹かせていた椎名桔平と同じ
枠で切れ長の目がもっと切れていて
服部半蔵の
ナイフのような存在感の桐谷健太
彼は評論家たちに褒められることが多く
て「ケッ!」って思ってたけど
これからは見る目が変わりそう

最後に加瀬亮の歪んで引き攣った表情が最高だったよー
これほど楽しめた時代劇は初めて
だった。
カテリーナ

カテリーナ