カテリーナ

市子のカテリーナのネタバレレビュー・内容・結末

市子(2023年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

机君が頑張ってた!

ぐっさんとCMに出ていた
杉咲花はそこにはいなかった
代わりに大人の女性に成長していた杉咲花がいた
特に動画で見た舞台挨拶での彼女の
自然体なしとやかさと知的な雰囲気に
驚きと嬉しさに溢れた
『湯を沸かすほどの愛』で宮沢りえの娘として頭角を表した頃
教室で虐めに対抗する為に下着姿になった
彼女の女優魂は本物だったと分かった
冒頭から真剣な眼差しの若葉竜也からのプロポーズを受けて
嬉しさで(ラストで同じシーンが流れる意味に落涙する)涙を流す杉咲花の芝居
にやられる 演出も照明も美術も文句無し
(山崎貴監督!是非鑑賞して)
そこかしこにリアリティが宿る
秀作だと心の中で安心して鑑賞を続けた
今年の邦画はレベルが高い

杉咲花演じる市子には筋ジストロフィーを患う妹がいて母親は夜口紅を塗って肌の露出が多い服で出掛ける 狭いアパートの
貧困を表現する小道具に心が痛む
セーラー服を着て学校に通う市子の肩に
難病の妹の看護という重荷がのしかかる
看護人にケアして貰わなければ一秒と生きられない過酷な病の妹の世話をする市子を見上げる妹の目が何度かカメラが凝視する
その目が辛くて息が詰まった
クーラーのない部屋で市子がある行動をとる
母親の帰宅 → 部屋の片隅で空を見つめる市子→母親の沈黙の後の「ありがとう」の言葉→鼻歌を歌う母親の背中へ市子が話し掛ける→「お母さん」と呼びかけても次の言葉が出てこない市子
この時の杉咲花の芝居に心掴まれた
幼い頃の娘と彼女が重なる
市子の行方を探す若葉竜也演じる長谷川は
別々に暮らす母親を訪ねる
「市子さんを助けたい」
母親の語る市子の壮絶な過去に泣きじゃくる長谷川の優しさが哀しい
彼の指から離れない蝉を使った
彼の純粋な心を表す演出にも泣けた
市子を突き離したかに見えた母親が
船上の長谷川に深々と頭を下げて見送る
彼女の姿に本当は心から娘を愛していたと
気付き慟哭した
机君じゃない、北君の市子への愛は独りよがりだったかもしれないけど
自分が彼女を守るという決意が伝わる
森永君『ちはやふる』以来だけど
やっぱり彼は凄い
数多の名シーンを喰らって
鑑賞後帰宅してからも彼女の顔が私を捉えて離さない
日本の法律は離婚して300日以内に生まれた子供の離婚した父親の戸籍に入る
全ては全く知らなかったこの女性或いは母親の人権を無視したような法律のせいで
起こった事件なのだ。

『ほかげ』が私の今年ベストだったのは
ほんの数日で今作に変わってしまった。
カテリーナ

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