じょにー

PERFECT DAYSのじょにーのレビュー・感想・評価

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)
4.9
いきなりとんでもないこと言うけど、この映画がおもしろくなくてよかった。

どうせ明日は来る。今日が最高でも最低でもどうせ生き延びてしまうし、どうせそのどっちでもない明日がまた来る。終わりを求めてる訳じゃなくても、生きてる分には人生ってそう簡単に終わってくれない。
とか思うときが自分の中にはあったりして、そんな日々を切り取った映画とも何度か出会って来たけど・・・この映画はどちらかと言うと、そんな日々をさらに生き延びてしまった普通の人間、主人公・平山の日常を見る映画だった。

何も特別じゃない。起承も転結もあってないようなもの。誰のことも何も教えてくれない。映画に出てくるすべての人間がただ生きてるだけ。でもそれがよかった。物語ってそれでいいんだよ。この普通の映画のすべての時間が、この映画を表してる。良かった。

個人的に好きだったのは寝てる時の演出。あの不安になりそうでギリギリ心地良くてでもちょっと怖い、みたいな質感が本物すぎる。天才的な映像と音響のバランス。

この間フォロワーさんと会話してて、"「映画の中」じゃなくて彼らにとっては人生、それを覗き見してるのが私の映画の好きな所です"っていうコメントをもらって。自分もそんな受け取り方してみたいなあ、できたら素敵だなあって思ってた。それが2日前とかなんですけど・・・。すごいよな、何ていうか。こうだから、やっぱり映画ってやつは。
だからこんな自分の日々も、まあそれなりにパーフェクトなのかもね。
とか。

毎日嫌な事があっても、ひとつ良い事があるだけで報われてた純粋だったあの頃を思い出した。
映画も日常も、なにはなくとも素晴らしい。
じょにー

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