【エクスプレッシブでユーモアな愛】
■あらすじ
新作『枯れ葉』の主人公は、孤独さを抱えながら生きる女と男。
ヘルシンキの街で、アンサは理不尽な理由から仕事を失い、ホラッパは酒に溺れながらもどうにか工事現場で働いている。
ある夜、ふたりはカラオケバーで出会い、互いの名前も知らないまま惹かれ合う。
だが、不運な偶然と現実の過酷さが、彼らをささやかな幸福から遠ざける。果たしてふたりは、無事に再会を果たし想いを通じ合わせることができるのか?
いくつもの回り道を経て、物語はカウリスマキ流の最高のハッピーエンドにたどりつく。
■みどころ
凄く良かった!
孤独な女性と酒に溺れる男性のラブコメ話。
これ令和5年の映画か?なくらい質感が90年代の色褪せた世界観で、行方を追いかけっこしたり行き違いしたり償いをする中で愛を追い求める。それをシリアス、ユーモアなど色んな温度感で描くのが純粋に良かった!
ゴダールの気狂いピエロのポスターが貼られた映画館のレトロ感も良いしレトロな質感とは裏腹に唐突にチャイ6で場面転換したり直後に閉店=有休と言う即興なスピード感が良い!
テーマがシンプルではあるものの、言い回しが面白かったりBGMのアッパーさ・荘厳さの緩急が凄かったり、90年代を思わせるザラツキがありながらもウクライナ戦争やジム・ジャームッシュ「デッド・ドント・ダイ」を混ぜる現代的な部分もあったり…そういった対極な存在を絶妙なバランスで演出していて観てて楽しかった!