great兄やん

哀れなるものたちのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
5.0
【一言で言うと】
「無垢は“真理”を弄る」

[あらすじ]
不幸な若い女性ベラは自ら命を絶つが、風変わりな天才外科医ゴッドウィン・バクスターによって自らの胎児の脳を移植され、奇跡的に蘇生する。「世界を自分の目で見たい」という強い欲望にかられた彼女は、放蕩者の弁護士ダンカンに誘われて大陸横断の旅に出る...。

第36回東京国際映画祭にて鑑賞。

“理性”を極限までブッ飛ばしまくった大傑作。ヨルゴス・ランティモスの“変態性”がドロドロに溢れながらもここまで笑い飛ばせるエンタメとして仕上げたのがマジで見事すぎる。本当に面白かったし、こういう無垢が凝り固まった価値観をシバきまくる映画大好き。

ヴェネチア国際映画祭で金獅子を獲ったとして前評判もすこぶる良かったし、チケット争奪戦にも見事勝ち取れて大いに期待してましたが、いや〜これは凄いよ。マジで。確実に賛否は分かれるだろうけど個人的には圧倒的に“賛”の方だし、フェミニズムな観点に溢れてるけどそれをしっかり痛快劇としてコーティングできる監督の芸当は、まさに“鬼才”の名を欲しいままにしてましたね...

とりあえず新鮮な気持ちで観てほしいから感想はここで止めておくことにする。エマ・ストーンの独壇場とも言える体当たり演技は必見だし、“哀れなるものたち”とは一体誰の事を指すのか?その点で観ても非常に興味深い内容となってるので、公開日である1月26日まで読者は是非とも楽しみに待っておいてください!!

万人に寄せ付く事を拒む“クセ”の強さは全開だが、刺さる人にはとことん刺さりまくるヨルゴス・ランティモス最新作。現代ではかなり憚れるようなカルトさを直球で描く監督の“容赦なさ”にはある意味感服です...