さうすぽー

哀れなるものたちのさうすぽーのレビュー・感想・評価

哀れなるものたち(2023年製作の映画)
4.3
自己満足点 84点

ヨルゴス・ランティモスの最新作。

正直自分は今まで彼の作品で好きになれる作品に出会った事が無く、どちらかと言えば苦手な監督でした。しかし、今作は自分として初めて心から好きになれたヨルゴス・ランティモス作品になりました!


自殺した女性の中にいた胎児の脳を移植して蘇った女性ベラが様々な大人に出会って世界を知る寓話的作品。

彼の作品らしくだいぶ奇妙な設定の内容ではあるものの、体は大人でも頭脳は子供として生まれ変わった女性であるために大きな子供として登場します。

移植に成功したウィレム・デフォー演じる変人科学者やマーク・ラファロ演じるプレイボーイな男と関わる度に世界や現実を知っていくストーリーは観ていて面白いです。また、エマ・ストーン演じるベラの精神的な成長スピードの早さに段々と大人達が追い付けず翻弄されていく様も観ていて面白かったですね。

俳優陣の演技力も素晴らしいです。
エマ・ストーンはこの複雑な設定の役を見事にこなして度肝を抜いたし、マーク・ラファロやウィレム・デフォーも素晴らしかったです。


今作ではかなり激しい性描写があったり時折暴力的な部分も見受けられるものの、ベラが大人の体でありながらも精神が子供であるため、子供特有の純粋さに秘めた暴力性や性を知っていく過程を描いているので非常に納得がいくし容赦なく描ききったのはお見事かと。


反面、街や海の航海シーンに関してはCGがかなり目立ってたのでそこは少し残念に感じました。


男女の過激な性描写はあるものの、内容はフェミニズムな要素が強い映画でもあるので女性にこそ観てほしいと思っています。