great兄やん

ザ・クリエイター/創造者のgreat兄やんのレビュー・感想・評価

ザ・クリエイター/創造者(2023年製作の映画)
3.4
【一言で言うと】
「共存を拒む“エゴ”」

[あらすじ]
2075年、人間を守るために開発されたはずのAIが、ロサンゼルスで核爆発を引き起こした。人類とAIの存亡をかけた戦争が激化する中、元特殊部隊のジョシュアは、人類を滅亡させる兵器を創り出した「クリエイター」の潜伏先を突き止め、暗殺に向かう。しかしそこにいたのは、超進化型AIの幼い少女アルフィーだった。ジョシュアはある理由から、暗殺対象であるはずのアルフィーを守り抜くことを決意するが...。

人類が導いた愚かなる“未来”。発展における“創造”をエゴの“スクラップ&ビルト”として利用してしまう人間ってやっぱ愚かな生物だよな…という事実に改めて辟易としたし、特にアメリカが他国(特にアジアに対して)に行ってきた“悪行”を戒めるような“自国批判”的描写がかなり強調されているようにも思えた。ある意味SFの枠では収まらない来るべき未来への“警鐘”のようにも感じ取れましたね🤔...

ローグワンの監督でお馴染みギャレス・エドワーズ監督ですが、親日家というのもあり舞台設定もどこか日本要素が散りばめられた描写も圧倒的でクオリティも高かったですし、しかもあんなサイバーパンクな世界観を8000万ドルという低予算で完成させたと言うのだからまぁ驚きが隠せない。やっぱ莫大な予算を投じて作るよりも、ある程度の“制約”の中で作る方がクオリティ含めオリジナリティが高まるのだな…って思ったし、何よりもSF大作ならではのコッテコテの作風ではなく、近未来でありつつも荒涼とした“渋味”を感じれる『ブレードランナー』的な作風なのが尚良かった。

ただ個人的にはストーリーの内容が少し薄い…というか、監督が好きな要素を詰め込みまくった結果外面だけ良くて中身がかなりカスカスになってしまってるような気がした。壮大な世界観でありつつも意外と盛り上がるようで盛り上がらない展開が終始続きましたし、ストーリーの大枠が粗方ローグワンの展開と似通ってるせいか、オリジナルSF作品としての“意外性”が欠けてしまってるのがかなり残念でした😣...

出てくるキャラクターも魅力があるかと言えばそうでもなかったですし、しかも出てきたと思えばすぐ死んだり…という無駄にバンバン死ぬキャラが多かったのも個人的にはマイナス要素でしたし、SF作品に定評のあるギャレス・エドワーズ監督作品でも“否”のレビューが多かったのも確かに頷けましたね😌...

とにかく全体的には概ね満足ではあるが、所々ハマりきれない要素も多く残るため、佳作ではあるが傑作には届かない“惜しさ”を感じてしまった一本でした。

主役であるジョン・デヴィット・ワシントンも主人公ならではの存在感も流石でしたし、アルフィーとジョシュアのロードムービーとしても観てて良かったんですけどね...いかんせん“地味”っぽさとツッコミ所の多さがかなり目立ってしまい、肝心の世界観だけが何とか功を奏していたという印象が全てでしたね(ー ー;)...

ただやはりAIと人類という今現在における“二項対立”をテーマとして定めた点はかなり良かったですし、既視感があるとはいえローグワンよりも更に人間味とリアリティが深まった今作はまさしくオリジナリティの“真髄”が詰まった一作だと言えよう。突進して自爆するロボットといい、AIとの共存を声高に掲げたところで実際のところ共存であっても“対等”ではないですからね😔...