tjZero

パッチギ!のtjZeroのレビュー・感想・評価

パッチギ!(2004年製作の映画)
3.9
舞台は1968年の京都。
まず最初に、各県からやって来た修学旅行生が右往左往している様子を見せてから、地元の日本人高校と朝鮮高校の生徒同士のケンカへと展開していく導入部が巧い。

在日の問題を絡めたことで、単なる青春映画には収まりきらない、広がりと深みがある。

川(河)が象徴的に描かれる。
鴨川の両岸に日本側と朝鮮側が分かれてケンカをおっぱじめる”分断”の象徴でもあるし、主人公の康介が流れを渡ってひとめ惚れしたキョンジャに逢いに行く”交流”の場でもある。

日本人の康介が南北朝鮮融和を願う”イムジン河”を唄うことで、キョンジャだけでなく、在日たちのコミュニティからも受け入れられるようになる。

アタマで理解する学問よりも、ハートで通じ合えるカルチャーの強さを、映画というフィクションで存分に表現できている。

京都という地は、室町時代に南北朝に分かれていたこともあるし、そこら辺の土地の記憶も南北朝鮮分断と響き合って、効果的な作品舞台となっているのかもしれない。

塩谷瞬、高岡蒼佑、小出恵介、沢尻エリカ…といった、その後”お騒がせ”した面々も含め、オダギリジョー、桐谷健太、ケンドーコバヤシ、真木よう子…らの若き姿も登場。
キャスティングしたスタッフ、作品内で彼らを輝かせた井筒和幸監督、どちらも見る目があるし、すぐれた仕事ぶり。
tjZero

tjZero