滝和也

原子怪獣現わるの滝和也のレビュー・感想・評価

原子怪獣現わる(1953年製作の映画)
3.4
核爆発による怪獣登場、
大都市に上陸し破壊、
そして軍隊との対峙
と…キングコングに並ぶ
ゴジラに多大なる影響を与えた
怪獣特撮作品の始祖。

天才、ハリーハウゼン特技
長編デビュー作品。

「原子怪獣現わる」

北極での核爆発実験。それにより目覚めた太古の恐竜レドサウルス。第一発見者だった核物理学者は誰からもそれを信じてもらえなかった。だがただ一人信じてくれた古生物学者の助手と存在を証明しようとする。海難事故で奴を見たと言う船員を見つけ、古生物学者の信頼を得ていくが、奴は嘗て生息したと言うニューヨークへ近づいていた…。

冒頭書いた様に怪獣映画としての基本フォーマットがこの作品で確立されている。(既に一部キングコングで確立してはいるが…。)やはり核エネルギーの影響で復活する恐竜という展開、爬虫類系の怪物、そして結末に至る兵器とゴジラに与えた影響は多大なるものがある。

ハリーハウゼンの長編デビューであるゆえに、怪獣はミニチュアによるダイナメーション、コマ撮りによるストップモーションと合成の奔りとなるもの。既に怪獣の動き、表情は見事としか言いようがない。口を開け威嚇するシーンは生きているかの如しです。

灯台破壊のシルエットを交えたシーン、燃え上がるローラーコースターでの最終決戦とその技術が活かされたシーンは見どころでしょう。

このミニチュアによるダイナメーションを円谷もやりたかったが、予算と時間の都合からゴジラはキグルミに。それ故ダイナミズムに溢れたシーンが撮影されているのは間違いないです。今作はミニチュア故に大きさが小さくなりがちで迫力はゴジラが上回ります。※人間大のセットによる破壊は迫力が遥かに上回りますからね…。モノクロフィルムの効果も相まって。

更に言えば敗戦国、唯一の被爆国である日本であるがゆえ、核エネルギーの被害者であり破壊の権化としてのゴジラは成り立っていて、ストーリーにその辺りが組み込まれていてより重厚さが増しています。一方こちらは核爆発で蘇りながらも余りにも触れないですからね。

先駆者、ハリーハウゼンの技術は勿論素晴らしいのですが、特撮の神様がいたゴジラとどうしても比べてしまう。それに予算の問題もあり、特撮シーンより遥かに冒頭書いたストーリー内にある、存在証明に至るまでが長く冗長な感じがありますから要注意です。

やはり先駆者としての価値ある怪獣特撮作品としてファンの方にはオススメです。
滝和也

滝和也