mimitakoyaki

赤と白とロイヤルブルーのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

赤と白とロイヤルブルー(2023年製作の映画)
3.8
アメリカ大統領の息子とイギリスの王子の恋愛を描いたBLコメディで、軽く楽しく見れるのですが、後半にはちゃんとしたメッセージ性もあって、マジメな作りだったのがとても良かったです。

母親はアメリカ初の女性大統領で、今は大統領選挙で再選を目指す真っ最中。
かたや、伝統と格式のあるイギリス王室の王子ですからね、それぞれの立場もあるし、しかも同性愛だなんて、禁断も禁断です。

特に王子の方は、ゲイだなんて王室では絶対に許されないことだと、ありのままの自分を否定される事にとても心を痛めて悩んで、高貴な家柄ゆえの苦しみがあるのですが、一方の大統領の息子の方は、自分のセクシャリティを周りが理解し受容し、大統領である母親からはゲイ向けの性教育までされて、やはり一番身近である家族がアライであることが、当事者にとってどれだけ心強いことか、本当に大事なことだと思いました。

それでも2人で支え合い、ヘンリー王子が大きく踏み出していくところは、心を打たれるし、王室が古臭い価値観にいつまでも縛られていても、時代はもっと先を進んでるって事がわかるシーンは感動的で良かったです。
こうやって世界は変わっていくし、励まされて誰かが勇気を出せるし、そんなひとつひとつが世界をまた前に進める力になるっていうのが、とても素敵です。

また、カミングアウトするタイミングもしないという選択も、とても大事な自己決定権だという事にも触れていたのも良かったです。

キャストはユマ・サーマンしか知りませんでしたが、主演のお二人も魅力的でした。

あんなものすごい騒ぎになってるのに会えるわけないやんとか、深夜の博物館に入るってセキュリティどないなってんねんとか、まあいろいろツッコミたくなるところはあるにせよ、楽しくサクッと観れるわりに爽やかな感動もあって良い作品でした。

25
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