mimitakoyaki

ひとつの太陽のmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

ひとつの太陽(2019年製作の映画)
4.0
今年のお盆休みは思いがけず台湾祭りになってしまいまして、グレッグ・ハンの出ている本作でお盆休みを締めくくりました。

地味ですが、じんわり味わいのある良い作品でした。
とは言え、冒頭いきなり韓国ヤクザ映画と間違えたっけ…💦と思わせるグロいバイオレンスにビビらされます。

いきなりエゲツナイ暴力描写を見せられますが、別にそんな作品ではありません。
次男がそんな暴行事件に関わって少年院に入り、その後も次男の子どもを妊娠したという中学生の女の子が訪ねてきたりと、家族にとって大きな出来事が続きます。
父親はそれらの事を受け入れられずに投げやりで、母親は必死に向き合おうとします。
偉大を目指す優等生の優しい長男も、大きな期待を背負い、ひとり抱えてしまいます。

最大の悲劇が起き、バラバラだった家族がそれぞれ見つめ直します。
母親と父親はとても対照的で、母親は、悲しみの中にも希望を見出し、地に足をつけて前に進もうとしますが、父親は家長としてのプライドが高い一方で、劣等感も強く、父親らしい事が何もできず、肝心な時に逃げてしまう欠落した人です。

それでも、少年院から出所後に更生しようと必死で働く次男との関係も少しずつ歩み寄り、不器用ながらも向き合おうとする姿に心を打たれます。

長男が、ほんとに優しい子で、予備校で知り合った女の子に語った話も、自分と重ね合わせてたのがすごく切ないし、弟の彼女の産婦人科受診に付き添うとか、優しすぎる…。
話し方もすごく優しく柔らかで、でもその奥底にあるものを知るとほんとに悲しくなります。
そんな長男を繊細に演じたグレッグ・ハンがほんとに良かったです。

家族の再生を丁寧に描いた心に残る作品でした。
台湾映画、もっと見てみたいという気持ちになりました。

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