【REVIEW】
完成披露試写にて。
すごい人をすごいと讃えるだけでなく、未熟なメンタルや危うい部分も叙事的に見せた上で、“音楽で社会を変える”を本当に成し遂げてしまったというどんな汚れでも曇らない偉大さを見せつけてくれるところにまっすぐ伝記映画を作り上げようという誠意を感じた。
本人が偉大すぎるだけで1作の映画としての盛り上がりは意外と大きくなかった印象はあるのと、若干説明不足感があり、“なんとなくついて来させる”ような雰囲気があるので100%乗り切れたとはいえない気もする。
とはいえ、彼を知らない自分からすれば、彼と周囲の人々のリアルの中に観客を迎え入れてくれたような温かさを感じられた。
主演キングズリー・ベン=アディルの風格も、自由人ながらカリスマスター然としていてかなりクールだが、それより印象に残ったのはボブの妻リタ・マーリーを演じたラシャーナ・リンチの存在感と演技。彼女はMCUや『007』のイメージも強かったが、心の芯に訴えかける演技には今後ドラマ映画での活躍も期待したくなる。
セッションで曲を作り上げていくシーンが好きだった。
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