ヨダセアSeaYoda

ザ・タワーのヨダセアSeaYodaのレビュー・感想・評価

ザ・タワー(2022年製作の映画)
3.0
【REVIEW】
外に出られず、視界に入るのは何もない真っ黒。外に出ようとすれば痛い目に遭うが、閉じ込められたフラストレーションの中で人種やジェンダーなどの属性の違いによる攻撃性が増して心が荒んでいく。
その口撃・暴力に意味や正当性などなく、ただフラストレーションのはけ口が「自分と違う人」に向かうというだけの単純明快かつ愚かな構図。
苛立ちと暴力が覇権を握る世界に、弱者の居場所はなく、小さなディストピアが渦巻いていく。

これはまさにパンデミック時代の人々の嫌な変化を表したような映画で、小規模ながらコンセプトで爪痕を残す1作だった。

ただ、フランス映画が一番好きな自分でも思うのは、やっぱりパニックSF系に関してはフランスは弱いな…ということ。
フランス映画らしい単調な無機質さが今作は裏目に出ているような気がする。この類のSFパニックには、北欧ホラースタイルのシュールな底意地の悪さや、『ミスト』のようなハリウッドスタイルの豪快な衝突が欲しくなってしまう。

正直、何かしらあと一歩だけほしい刺激が足りなかった印象は否めない。

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観た回数:1回
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【星つけた際の"個人的"評価・好み】
※作品のウリじゃなさそうな部分、判断しにくい部分は「-」
総合点59pt/100pt 星換算★★★3.0

95=スタンディングオベーション/90=大拍手/80=最高!/70=すごい!/60=良い/50=不足なし/40=あと一歩欲しい/30=うーん/20=さすがにちょっと/10=Z級

《配点》
★好み(主観によるただの好み・印象の強さ)
 65pt/100pt
★監督(コンセプト・元ネタ選定・主題・固有演出)
 64pt/100pt
★脚本(設定・起承転結・言葉・脚本でのテンポ)
 57pt/100pt
★撮影(構図・カメラワーク・撮影での映像美)
 60pt/100pt
★演技(演技力・役作り・演技のインパクト)
 55pt/100pt
★編集(カット・編集でのテンポ・音ハメ)
 59pt/100pt
★音響(録音・音響)
 58pt/100pt
★音楽(サントラ・歌曲)
 50pt/100pt
★美術(キャラデザ・衣装&メイク・セット)
 65pt/100pt
★配役(キャスティング)
 56pt/100pt
★VFX(VFXのクオリティ・VFXでの映像美)
 60pt/100pt
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