great兄やん

トルテュ島の遭難者たち 4Kレストアのgreat兄やんのレビュー・感想・評価

4.6
【一言で言うと】
「“遭難”のすゝめ」

[あらすじ]
パリの旅行代理店に勤めるボナヴァンチュールと同僚の太っちょノノは、ロビンソン・クルーソーの冒険を追体験できる無人島バカンスツアーを企画する。早速彼らはツアー先に向かうが、空港で太っちょノノは逃げ出してしまい、代わりに弟のプティ・ノノがボナヴァンチュールに同行することに。2人は現地でパリから到着した最初のツアー客を出迎え、冒険をはじめるが、誰も2人の言うことを聞かず...。

大好き。初ジャック・ロジエ作品であったが、間違いなくあの独特な空気感はギヨーム・ブラックの『みんなのヴァカンス』に通づるような格別かつ緩い空気感だったし、想像以上に自由な映画でただただビックリ笑。余りにも自由すぎて途中ダルい場面は何度かあったが、それでもそのダルさすら特別な“余白”として映すジャック・ロジエの手腕にはもう惚れ惚れでしたね😌...ていうか去年といい、なんで夏休みの終わり頃にこんなヴァカンス映画を上映するんですかねぇ…夏が名残惜しくなるじゃねぇか!!!暑いの苦手なのに!!!(理不尽)

とまぁこんな話は置いておくとして、とにかく何から何までグッダグダ笑笑。いやマジで。
ストーリーすらあって無いようなものだし、強いて言うなれば“無人島で遭難しようぜ!!”的なノリのストーリーなのだが、その主旨に突入するまで約50分ほどかかるというグダグダっぷりには思わず笑ってしまった🤣🤣🤣
そこからツアーが始まったは良いものの色々トラブルなどでゴタついたり代理店職員の一人がおかしくなったり、更には疲労から痴話喧嘩が勃発したりしてまたグダつくのだが、こんなダラダラと迂回をしまくってるにも関わらず不思議と退屈せずに観てられるのが今作の凄いところでもある。

それにワンシーン毎のショットがべらぼうに神秘的だったり、ユルいストーリーとは裏腹に撮影風景が見るからに過酷だったりと、視覚的な面で見ても魅力で溢れた要素でいっぱいなのが個人的にもお気に入りだし、展開すらどう“流れ着く”のか分からない漂流気分を味わえるのがある意味贅沢だなぁ…って感じましたね...

とにかく無計画で無鉄砲な遭難ツアーは一体どうなってしまうのか!?“急がば回れ”が裏目に出てどんどん目的から遠ざかっていく破綻っぷりに笑い、潤沢な上映時間を極限まで無駄遣いする散財っぷりに吃驚するとんでもない一本でした!

146分ある上映時間のうち、およそ3分の2を“グダグダ”で埋め尽くすという自由奔放さもですが、なんと言ってもこの“グダグダ”が転じて今作の題材すらひっくり返すミスリードとして機能してしまってるのが尚更面白すぎる笑笑。ラストシーンなんかあんなの誰が予想できんだよマジで笑笑。

まぁそんな無駄に溢れた映画でしたが、個人的にはまたもう一度じっくり観たいと思えるほど好きな作品でしたし、ああいうロビンソン・クルーソーなりきりツアーもメチャクチャ魅力的だなぁ〜って思いましたね🤔...え?実際にあんなツアーがあったら行くって?行くわけねぇだろあんなの(辛辣)