ジェイティー

愛を耕すひとのジェイティーのネタバレレビュー・内容・結末

愛を耕すひと(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

18世紀デンマークを舞台に、貧困に苦しむ退役軍人が、貴族の称号を得るために荒野の開拓に挑むお話。

この物語は、土地の開拓を目的に進行していきますが、実際はその過程で出会った非道な領主から逃げてきた女性、家族に捨てられたタタール人の少女、土地の開拓に理解と協力を惜しまない牧師さま、信念を貫こうとする主人公に惹かれる令嬢達との交流が主軸になっていました。

そして文芸作品によく見られる難解な心理描写も程々に、とてもエンタメ作品に近い、分かりやすくすっきりした作りで物語への没入感が高かったですね。

主人公は王や国民の為に土地を開拓していきますが、その出発点は自分の出自が大きく関係しているのでその執着が凄まじかったですね。
この執着によって周囲の人間から理解を得られないほど孤立していく姿は観ていて辛かったですね。

そしてその執着の果てにきちんと実を結んでいくわけですが、
そのカタルシスのタイミングが秀逸で、自分の土地だと主張する領主との確執が終盤ある出来事によって帰結しましたが、ここでこれまで散々ヘイトを溜めた領主に対してカタルシスの解放があった事で、主人公が悲願を成就させた時にはガス抜きされた反動でそこまでのカタルシスはないんですよね。
それが上述の土地の開拓ではなく人との交流が主軸というのが活きてきて、主人公に残ったものに対してその後の行動に納得してしまいました。

あとやはりマッツおじさんの演技力が変わらず素晴らしいですね。
ぐっと涙を堪える姿や押しの強い令嬢にモジモジする姿がよかったです。

最近観た作品の中でも没入感が高かったので何故こんなに面白いのか後で調べたら、なるほどドラゴンタトゥーの女や特捜部Qシリーズ、ライダーズ・オブ・ジャスティスの脚本を手掛けた人達だったんですね、納得しました(≧▽≦)

大変お勧めなのでお時間がある時に是非ご覧になってください。