ひこくろ

ちょっと吐くねのひこくろのレビュー・感想・評価

ちょっと吐くね(2023年製作の映画)
3.4
題材はかなりシリアス。
食べたものを吐いてしまうというのは、相当に苦しいものだろう、と観ていても伝わってくる。
誰かと一緒に食べたものも吐く。
差し入れしてくれたものも食べたら吐く。
摂食障害には後ろめたさがつきまとうから、それは余計に苦しい。

そんななかで、お互いに顔を合わせずに悩みを共有できる相手が見つかるという設定はいいなあ、と思った。
近すぎず、遠すぎず、絶妙な距離感を持って付き合える関係が、ネット上ではなく、現実社会に存在するという意味は大きいだろう。
そこにはお互いの救いがある。
決別してから、「吐くことでの優越感」が生まれるのも、独特で面白いなあと感じた。

ただ、いかんせん全体的に台詞がすべて理屈っぽく説明的すぎる。
聞いていて地に足が着いていないというか、上滑りしているというか。
生きた言葉になっていない、という印象を強く受けた。
これがもっと自然な台詞で語られていたら、胸に迫るような作品になっていた気がする。
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