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レザボア・ドッグス デジタルリマスター版のTnTのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

 だべる会話のシーン、何遍も観たからなのか長く感じてしまったな。そして、とんでもなく静寂を強いる作品であることを劇場にて体感。だからこそ音楽もバチっとキマるというか。銃撃後の静寂といったらたまらない。

 オレンジの作り話の時の編集とか凝ってた。この時代の映画特有の話法がギッチリ詰まってるなぁと。今作はタランティーノ節もさることながら、映画としての面白みのある話法が沢山あるなぁと実感。

 ティムロスえぐい。この時のイケメン度合い凄いな。デジタルリマスターが特に今までの「レザボア」のイメージを刷新するということは無かったが(もう元の画質に戻れない身体にされるけど)、結局彼らの表情の生々しさを体感しまくれた。そのせいか、今作は結構血と汗のしたたる男同士の同性愛チックな描写が強く印象に残った。ホワイトがオレンジのズボン緩めるところとか、今まで全然意味合いを見出すカットとして見てなかったが、今回はそういう意味合いに取れた。

 ギャングノリに入っていけないオレンジが認められていく下りはわかりやすくホモソーシャルの関係性が描かれていた。不良に認められたいインキャのような可愛げがある。

 唯一の女性らしい女性が、撃たれる妊婦であるという(今回字幕には妊婦とはなかったが)。妊婦を撃ち、血塗れで泣き叫ぶ、これは二度目の赤子としての爆誕で(オレンジの悲鳴は赤子なみに甲高い)、それを認めるのは母ではなくホワイト(=父)なのである。母を殺して父と結ばれたいという、逆エディプスコンプレックスがここにはあったのかもしれない。

 話の話。ティムロスが演じることを演じる。タランティーノが演技にこだわっているのがよくわかるシーン。台本を読むシーンは果たして演技か素のティムロスなのか。こういう演出か否かみたいなところに実は真摯なゴダールへの憧れを見る。

 今までピンクが逃げおおせたと思ってたけど、倉庫外で銃撃音がしてたのに今回初めて気づく。「ファーゴ」よろしくブシェミは宝を埋めては掘り出せない笑。

 タイトル。これ自分なりに編み出したのだが、デ・パルマの「ボディ・ダブル」のラストで貯水池に突っ込む狂犬の描写があって、タランティーノはその犬死をタイトルに持ってきたのではないかと踏んでる。
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