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ミッション・ジョイ ~困難な時に幸せを見出す方法~のumisodachiのレビュー・感想・評価

3.8


チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世と、南アフリカのアパルトヘイト撤廃運動の指導者デズモンド・ツツ大主教という2人のノーベル平和賞受賞者による世紀の対談を追ったドキュメンタリー作品。

ダライ・ラマ邸で行われた5日間に渡る2人の姿と、そのときに行われた対談インタビューを軸に、それぞれの人生や子供たちの施設を訪れたさいの様子などを交えて構成されている。捻りのあるドキュメンタリーではなく、極めてストレートに2人の言葉を伝えようとしている作品だった。

冗談を言い合って常にケラケラと笑っている2人。常に楽しい雰囲気の中で、喜びとは?幸せとは?といった根源的な話題が投げかけられていく。自分のためではなく、他者のために行動することこそが喜びであり幸せなのだということが繰り返し語られていく。

ダライ・ラマの瞑想部屋でミサを挙げたり(ダライ・ラマがホスチア食べてた!)、お互いについて話すときにツツ大主教に向かって「天の門の前で再会しよう」と言ったり(この発言を聞いたときのツツ大主教のビックリした顔が印象的)、ダライ・ラマの懐の深さに驚愕するシーンがいくつかあった。ツツ大主教もまた、ダライ・ラマを生ける聖人として捉えていて、絶対的な尊敬の念が全身から滲み出ていた。人間同士の関係として、これ以上に理想的なものは考えられないのではないか?というほどに調和がとれたふたりの関係性は奇跡的ですらある。

あまり長々と感想を綴るのも野暮になるのでこのあたりにしておくが、まずは本作を観てほしい。こういう風に生きていきたいと強く思えるシンプルな笑顔と言葉に満ちていて、きっと元気をもらえるから。
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