だい

靴みがきのだいのネタバレレビュー・内容・結末

靴みがき(1946年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

「自転車泥棒」と双璧をなす、デ・シーカの代表的ネオレアリズモ。

同じように抗いきれない現実の生活の重さを描いてるとは言ってもさ、
自転車泥棒は社会云々以前に、親父の能力不足が顕著すぎて自業自得感しかなかったけど、
こっちはマジで個人の努力や才覚ではどうしようもない社会の闇・闇・闇。


生きるためには何でもやるしかないストリートチルドレン。
それを利用して悪事を働くチンピラども。
法や善悪よりも重視される仲間内の義理や掟。


孤児のパスクァーレにとってはジュゼッペは家族みたいな大切な存在でも、
家族のいるジュゼッペにとっては、パスクァーレは友達に過ぎないんだよな。

家族を売ったパスクァーレは、ジュゼッペにとってはもう友達じゃなくて、
友達がいなくなって少年院で一人きりになったジュゼッペは、
何としても家族の元へ帰ろうとした。

家族だと思っていたジュゼッペが自分の馬や金を盗もうとしていると知ったパスクァーレは、
それまで憎んでいた警察に売ってでも、ジュゼッペを捕まえようとした。


戦後の混乱の中では、
仲間とか、絆とか、正義とか、
そんなんはすぐに崩れる程度のものしかないのだ。

自分が生き延びること。
が第一だから、
自分が生き延びる助けをしてくれる人。
は大切だけど、

自分が生き延びる邪魔になったら、
それはもう大切じゃない。
それは当然なんだけど。


そう思って育った子供たち。
子供たちからまで収奪しようという大人たちばかりのあの少年院で、
はたして子供たちは何が変わるんだろう。
だい

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