伏見の剛力

アメリカン・フィクションの伏見の剛力のレビュー・感想・評価

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)
3.5
もう日本は終わってますよ、毎度毎度なんでアカデミー賞間近あるいはその後に劇場公開してアカデミー賞をアメリカ人みたいに余裕を持って楽しめないのか我々は。

なんでオッペンハイマーをアカデミー賞後に観ないといけないのかねどうせ沢山受賞するんでしょうロバートダウニーJrがもし受賞しても観てないのに一応喜ばないといけないんですよね観てないのに、落下の解剖学は捨てましたしアーガイルとコヴェナントも観ないといけませんし私は近場の映画館しか足を運ばないタイプなのでいい加減にしてくれとラルクのライブで忙しかったんですよなんすかアメリカンフィクションて勘弁してくれよと悪態をついてましたよ。

なんとアマプラで配信されてるんですね、いや〜ありがたやありがたや、ですが配信となると小難しいか評論家が好きそうな作風になりがちというか何でしたっけゼログラビティの監督の白黒のやつとかカンバーバッチとキルスティンダンストのやつとか今年はマエストロですかこれも観ましたが本作もポスターからしてお前みたいな素人は置いてけぼりにしちゃうよと言われてるかのように敷居が高そうな感じがしてでも配信だからアイコスをシバきながら鼻ほじって観るかとまあ快適ですわ。

ところがこれが分かりやすく考えさせられるというか話しがスッと頭に入ってくるんですね編集と音楽も相まってコメディ?ブラックコメディでもないんですが真面目なのにクスッと笑えたりと別に早口で会話劇っぽくもなくごく普通の会話のトーンで飽きさせない作りはジェフリーライト演じるセロニアスエリソンのキャラが立っているからではないでしょうか。

数年本を出してない黒人大学教授が白人受けしそうな黒人をテーマにしたゴミ小説を冗談半分で出版社にうりこんだら思いの外反響が大きく取り返しがつかなくなる感じの話です。

今年セクシー田中さん事件がありましたが本作と通ずるメディアミックスの弊害もラフにというか軽くというか重くはないが考えさせられるエンタメ程度に描いていて惹き込まれるものがありましたね。

セクシー田中さんの作者は作品が我が子のような存在であるのに対しジェフリーライトは作品をゴミと言い放ちこのゴミなのに売れて良いのか自分の作家としてのプライドは失われて良いのか白人を喜ばせる悲劇な黒人物語ではなくもっと白人に迎合しない魂のこもってる黒人小説が必要とされてるんじゃないか業界はゴミを求めているだから金になり自分は今母の介護で金が必要じゃないかという葛藤が面白いですね。


タイトル変更とかノミネート拒否とか映画監督とのやり取りとか作品に作家の魂がなくても評価されたら良いのかとか一見社会風刺が効いてると思わされるもこれらをエンタメに落とし込んでるからくりが皮肉を効かせていてアカデミー賞会員もとりあえずノミネートせざるお得ない状況にさせたんでしょう、自分でも何言ってるか分かりませんが作品賞受賞はないにしろ見過ごすわけにはいかないそれくらいのパワーがこの作品にはあります。

アマプラが頭おかしいのか字幕がバグってるんですよ、対話の字幕ではなくメールや書面を読み上げる時や壁に書かれた文章、場所を示すときの字幕に必ずと言っていいほど?がつくんですよ?じゃないですよちょっと細い?がつくんですよマジで。

主人公のゴミ作品を出す前の新作の不採用を読み上げる時の書面が精巧に書かれた作品であり?登場人物も表現も豊かだ?だが黒人の経験に基づき?アイスキュロスの二次創作を書いた意図は?なんだこの?は。

ブックフェスに行く主人公がその場所にたどり着き会場が映し出され字幕にブックフェスティバル?ハ?なんで聞くの?

主人公が登壇して名前のなんですか国会の指名費みたいに自分の前に置くやつありますよね、そこの字幕がセロニアスエリソン?て表示されるんですよいやそうじゃなかったらあなた誰なのよと。

それとかある登場人物が自分の小説を読み上げる時に「わかるだろ」と私は答える?

「まさかまた妊娠したのかい?」?
なんですかこのカッコの外の一回り小さいハテナマークは?さっきから何なんですかいったい。

病院の壁に書かれたbostonFamilyplanningの字幕にボストン家族計画?って表示されるんですよなんで聞くの私に知らんよそんなん。

この?のつく法則がなんとなくわかってきた矢先あるシーンでしんみりする時にある人が手紙を読むんですがまさかまさかのやめろやめろからのからの〜と身構えたらイドリスエルバとやりたかった?ラッセルクロウとやりたかった?とハテナマークついちゃうんですねアイタタタタタタタタタタタタタタタタタタ…

AIが字幕してるんですか?なんなんだこの?ハテナマークはえええ〜???

それも含めて意外と面白かったですよ。
伏見の剛力

伏見の剛力