伏見の剛力

オッペンハイマーの伏見の剛力のレビュー・感想・評価

オッペンハイマー(2023年製作の映画)
3.6
予習は大分したんですよ去年に、だって去年公開されると思ってましたから。

しかしアカデミー賞後の今更公開ということで予習内容もほぼ記憶になく再度予習するのもめんどくさくもういいだろとなんか3つ位時系列がありカラーや白黒に多くの登場人物、専門用語、3時間、イケるっしょうん行こう!ともう負け戦ですよインターステラー以来の途中退席カマさなければ御の字よとええ〜。

最近IMAXとか興味が無くなってきて映像や音響よりも周りにうざい客がいるかいないかが重要になってきて都合の良い時間帯の普通のスクリーンで観ることが多いんですよ金も安いですしストレスないですから。

ノーランといえばIMAXに音響でしょ、私はこれも自分の都合で捨てて予備知識も曖昧なので楽しみなんですが見る前から映画ファンの少数派の斜に構えた否定的な感想しか持たないのだろうなと別にいいですよインフルエンサーとかじゃないんだからかかってこいやノーランと息巻いておりました。

イケましたね~これが案外…すんなりイケましたね~。

ややこしいとされていた時間軸、時系列たしかにややこしいです。

オッペンハイマーの主観がカラーでカラーだけで取調べされてる時と数十年の彼の活動と2つ行き来しますしダウニーのストローズの主観はモノクロで公聴会から過去に飛んだりと多分合計4つのタイムラインで構成されています。

ですからオッピーとストローズの過去現在が入り乱れて混乱を招くのは必至なのかと思いきや意外とそうでもなかったんですよ。

最初アナデアルマスのブロンドのようななんでそこモノクロにするかねと思ったんですよでもストローズ視点なのねとすぐ入り込めてオッピー視点はこの映画ほぼ会話劇ですから年代が字幕に表示されなくとも感覚でわかるんですよなんとなく。

カラーで時系列が入り乱れてもちゃんと登場人物白髪だったりするんでピュー様も出てたストーリーオブマイライフのほうが分かり難かったくらいにはオッペンは親切でしたよ。



登場人物も多いですが一人一人有名俳優なのでジョシュハートネットやデインデハーンがこういうやつなのねとかあっそういえばラミマレックいたなとか記憶に残りやすいんですね。

だから見終わってから記憶のパズルを時系列に沿ってハメやすいというかビッグネームがちょい役だからこそ理解度が増すというかもちろん専門用語例えば赤狩りとか細かいところはわかりませんよ?しかし強がりではなく感覚でだいたいこういうことなのねとアホの私でもついていけたので編集や会話のテンポが絶妙で飽きさせないんですよね逆にノーラン伝記映画撮ってもブレないんだと笑いましたね。

町山さんが1回じゃ分からなかった5回見て3回目でようやくわかったとおっしゃってましたが私みたいなもんは感覚でなんとかついていけて詳しいところはそういう人の動画で補完出来て丁度いいくらいには寝ずに完走できましたね。

ロバートダウニージュニア 演じる ストローズが面白いですね~彼は高卒で科学者になれず靴屋として働いた過去があり恵まれた天才オッピーに嫉妬しているという設定、これトニースタークと逆なんですね、アイアンマン2のサムロックウェルやアイアンマン3のガイピアースやファーフロムホームのジレンホールが天才トニーに軽くあしらわれ無視される立ち位置ですよ。

本作でもオッピーにバカにされてましたからねストローズは。

だからノーランはダウニーをキャスティングしたのかと合点がいきましたよ、君はアイアンマンでそのままの自分を演じてるからストローズでトニーのイメージを解そうではないかと逆をいったわけですね〜もうストローズが喋ってるだけで楽しめましたからね。

本作は原爆をどう作ったかはザックリ描かれていてそれよりもオッピーの人間性と後悔に焦点を当てる方向性でアメリカ万歳にはなっていないんですが日本描写が一切ないのは賛否両論があると思います。

広島長崎の惨劇も描いてないですし原爆被害の写真に目を背けるオッピーなど映像的に日本 描写を避けてると捉える人もいるでしょうがこれはオッピー視点なので仕方ないことなんです。

逆にこれがアメリカ視点でも日本視点でもなく1つのノーラン映画としてのクオリティの担保に繋がってるなと思いましたね変に迎合して日本の原爆描写や実際の写真を映すよりも悪魔でオッピーとストローズの物語を極める上では非常に適切な判断だったと感じますし個人的には集中出来ましたね。

オッピーは被害妄想が激しいので原爆投下後にイメージしてしまうんですね広島長崎を、しかしオッピーは天才であるがゆえに科学に意識を全て持っていかれてるんですよ、計算で理論で解決できない人の気持ちの理解力が乏しいんですよだからか日本人を鮮明に想像出来ない彼がイメージしたのは目の前で自分を讃えてる白人達が原爆に焼かれる姿なんですね、ここがうまいなと思いましたね~。

どっかのわけわからん人種が死ぬよりも目の前の仲間達が死んだらどうなるかという結局同じ人間だという解釈も出来ますしやられたらやり返されることの暗示かもしれません。

これまた近年まれに見ますね巨大な力を生み出した人間の苦悩をまじまじと3時間見れる映画ってのは。

お前どんだけMCUの例えすんねんと思われるかもしれませんがトニーもアイアンマン3で精神病んで結局はウルトロン作ってソコヴィアにボランティアで来てたスペンサー君を間接的に殺してしまったんですよ。

でもそれ以降の作品ですぐ前を向いておりました。

エターナルズではファストスが広島にわざわざ向かい膝から崩れ落ちわいが技術を人類に教えたばっかりに原爆が落ちてもうた〜と咽び泣いて降りましたがすぐ前を向いて戦っておられました。

オッペンハイマーはずっと苦しんでいるんですよ映画の中では。

つまり何が言いたいのかというと原爆という革新的兵器を作ったオッペンハイマーというアメリカのヒーローがずっと苦しんでるというアメコミではこんな長尺を割けないほどの罪悪感を濃厚に描いている点においては不謹慎かもしれませんが面白いなと思ってしまいましたね。

オペンハイマー も キラーズ オブ ザ フラワームーン も疲れたんですが 体感時間は早かったんですよ。

DUNEPart2は長かったですね~何なんですかねこの違いは、やっぱ会話のテンポ編集なんですかね、ドゥニはじっくりトロイですからねそのへんは。

ノーラン作品でピュー様あんな脱ぐ必要あったのかそこだけ疑問です。
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