LalaーMukuーMerry

恋恋風塵(れんれんふうじん)のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

4.4
「冬冬の夏休み」でもそうだったけど、ホウ・シャオシェン(侯孝賢)監督の作品は、台湾映画なのに日本の昔を思い出す。
          *
作品制作は1987年だが、描かれた時代はおそらく1960年代前半だろう。監督の自伝的作品。舞台は台北の東、九份という炭鉱の山村。
          *
貧しい家庭で育った中学3年の少年アワンと2年の少女アフンは、幼なじみの仲良し。口には出さないけれど相手なしの将来は考えられないくらい。アワンは中学卒業後、進学せず働きながら夜間高校に通う道を選んで台北に行った。1年後アフンもアワンが探してくれた仕事を得て彼の近くで暮らすようになった。だけど…
          *
徴兵で引き裂かれてしまった二人の悲恋の物語。といってもラブシーンも情熱的なエピソードも何もない。それでもアフンがアワンを慕っているのが痛いほど伝わってくる。彼女(シン・シューフェン)が凄~く可愛い。だから最後の落ち着き先がとても居心地わるいのです(一人で泣くだけかぁ、わかるよ。でも…もっと抵抗してくれ~!)。昔は多くの人がそんなだったのだな、と一人で納得。そんな作品でした、でも雰囲気はとても好きです。
          *
台湾の歴史で知っていることは、日本の統治時代があったこと、戦後の1949年に中国共産党(毛沢東)に敗れて国民党(蒋介石)が台湾に中華民国政府を移したという事ぐらい。その前も後も何も知らない。なんで徴兵制がある? 戦う相手は? 金門島ってどこ? 
          *
Google mapで金門島の場所を知って驚いた。大陸と目と鼻の先ではないか、ここも台湾の領土なのか!台湾は、実効支配しているこの島を守るために、男は18歳になると徴兵で集められて、2年または3年の兵役を経験し祖国を守っていた。平和な日本に居てこんなことにも気が回らなかった自分に恥。
          *
男が兵役に出ているあいだにガールフレンドが心変わりしてしまうことを、台湾では「兵変」と呼び、台湾男子が最も恐れる人生の一大事であるらしい。ふーん