省略が効いているし割と正攻法というか破綻なく進行していく感じがある。17世紀の出来事がシームレスに現前するのが面白くわかりやすい。幻想的な物語だけどダニエル・シュミットとしては不可解さや頽廃美は薄めのよう。とはいえケーブルカーや夜の列車の行き交いで幻視するシーンは印象的。現代に登場する「事情をわかってるらしき人」がそのへんのおじさんおばさんだったりするのが『童夢』ぽい。
主人公のミシェル・ヴォワタという役者とキャロル・ブーケがレナート・ベルタのカメラにより大変美しく撮られている。シャネルNo.5のモデルだったころのキャロル・ブーケ、硬質な美貌が冴え渡っている。
エンドクレジットの緩衝材はかぶきの「見立て」を取り入れたのかも。
劇伴がややチープな印象だった。ダニエル・シュミット作品はどこかに必ずラテン音楽が入るんだな。