柏エシディシ

ナショナル・シアター・ライブ 2024 「ディア・イングランド」の柏エシディシのレビュー・感想・評価

4.0
サッカーイングランド代表監督ガレス・サウスゲートと代表チームを主人公とした舞台劇というのが先ずは驚き。
現役の選手たちも実名で登場。
サウスゲートに「恋におちたシェイクスピア」のジョセフ・ファインズ。その"完コピ"ぶりが見事。
記憶にまだ新しいロシアワールドカップからEuro2020、カタールワールドカップまでが主な舞台となる。
掴みからして、ビッグサムなモンだからサッカーオタク的面白さにも充分応えてくれる作品。(ハリー・ケインの喋り方とか特徴を押さえてて最高過ぎる!wエリクソンやカペッロ弄りなどサッカーを知らない舞台ファンは判るのだろうか?)
しかしそれ以上に、フットボールという"国技"を通してイングランドという国そのものの社会学的考察、人種差別やBrexit、延いては勝利至上主義やToxic Masculinityまで、豊富なテーマを含めた知的でユーモア溢れる舞台劇で大変面白かった。
現役の代表チームと監督でこんな事まで出来ちゃうのだから、やはり「フットボールの国」。
劇中「サッカーは"物語"である」という言葉が出てくるが、まさにサッカーという競技は筋書きがない大河ドラマだと思う。サポーターなんていう難儀な生き方をしている人間ならば共感して頂ける事か、と。
其々の国やクラブの数だけ、其々の物語があり、その物語の一部になれる事がサッカーを応援する事、サポートする事(もちろん、選手としてプレーする事も)の魅力であることを、改めて、サッカーとシェイクスピアの母国の舞台に教えられた想いだ。
柏エシディシ

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