ナーオー

デストラップ/狼狩りのナーオーのレビュー・感想・評価

デストラップ/狼狩り(2020年製作の映画)
5.0
ラストがとにかく強烈だけど、実はそれに至るまでの丁寧な脚本がお見事!

原題は『HUNTER HUNTER』
これだと日本人からすれば漫画を連想する人が多くなるからなのか、いかにもB級な『デストラップ 狼狩り』という邦題に。

実はもう4年前の映画なんですね…
映画友達に本作のことを教えてもらい、Rotten Tomatoesで批評家と観客両方ともかなりの高評価ということで密かに気になっていた作品が上映館は少なめながらも遂に公開されたので早速鑑賞して来ました〜!

観る前から、本作は傑作か怪作か、その二つに違いないと予想していましたが、その予想は間違っていなかった。

本作は傑作であり怪作!

とはいえ、かなり独特な作風、おまけに強烈なゴア描写… 人を選ぶ映画に間違いないので、万人向けする映画とは言い難い。

まずはラストが強烈。これについては本作を観た人誰もが認めると思います。

観た人全員の心に傷跡を残す、最悪の展開。北欧のホラー映画ならこういう鬼展開は起こり得るけど、アメリカ産のホラー映画でここまで鬼畜な展開は珍しい。

最悪だけど、カタルシスはある。
でも救われねぇ〜 上映後、重た〜い空気が劇場内に漂っていました…

ただラストまでに賛否が分かれそう。

ラスト以外はずっと静かなので、退屈と感じる人もいるかも。ただ個人的にはこの静かな序盤から中盤こそ本作の肝。

ハンターとして自給自足の生活を送る主人公の家族の日常がゆっくりと丁寧に描かれる。どのように動物を追い、どのように追跡して、どのように仕留めるのか。意外なほど丁寧に描かれるリアルな狩りの描写にはゲームの『レッド・デッド・リデンプション2』を思い出しました。

一見何も起こらないけど、常に不穏な緊張感が漂っている。S・クレイグ・ザラーの『トマホーク ガンマンvs食人族』のように本作も丁寧な前振りが長いからこそエクストリーム過ぎるラストへの衝撃が増す。

よくよく考えれば、狼どこいった?
などもありましたが、全編通して雑さや強引な展開はなく狼がいなくなっても物語上の不自然さはなかったです。

万人向けじゃないにせよ、実は無駄なく丁寧で上品な印象すらある。尖ったホラーを観たい人にこそオススメしたい一本です。

配給のエクストリームさんには日本でも公開してくれたこと、あとパンフレットも作ってくれていることに感謝です。
ナーオー

ナーオー