リコリス

台湾、街かどの人形劇のリコリスのレビュー・感想・評価

台湾、街かどの人形劇(2018年製作の映画)
4.1
芸能は人の中に宿り、伝承がなければ消えていく。時代や権力に利用・翻弄されながら、いつの間にか街角の大衆から離れて、外国を回ったり、観る人も減って文化財扱いだったり。布袋劇だけでは生活出来ないし、保護というより遺物として飾られるような。(現代風な人形劇方向は人気があるらしいです)

学校で見せた時の小学生くらいの子たちの目の輝き。外国公演の観客の目。

田都元帥が見守る中、最後に師匠が弟子たちと見せる古典的な布袋劇の至芸。客席には誰もいない。更に一人で虎と闘う男を演じる様も撮せ、と師匠は言ったそう。

文楽人形は三人遣いだが、たった一人で、時には一人二体を操り、人形を人間のように、情感、激しい動きまで表現させる。

元のタイトルは「父」。家を継ぐために母方の姓を受けて、長男なのに父に疎まれ、次男が父を継いだ陳師匠が、父の存在を乗り越える苦しみも描く。

最後に場違いな感じの曲が流れるが、聞いているうちに胸に落ちた。熱を持って急がないと消えていくのだから。
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