両親の離婚と、それに伴う影響を自身を照らし合わせて描いた第78回アカデミー賞(2006)脚本賞にノミネートしたNoah Baumbachによる脚本監督作。
そして2019年に今度は自身の離婚裁判をもとに描いた"Marriage Story"がアカデミー賞の作品賞と脚本賞にノミネートされるのだが…皮肉にも自身の体験談を描いた作品だけがアカデミー会員に評価されるということに。
やはり経験することが何よりも一番心に強く影を落とすということなのか…想像で物語を書けても、それが真に迫るかどうかの違いはどこにあるのか?
裕福な家庭で育った人は、貧乏人の物語を書けないのか?その逆は?
大した経験をしてない男には、オモシロイ物語は書けないのか?
んん…どうなんだろう。
ゼロから想像で書けないから才能がないのか…
本作の父バーナードを演じるのは"Speed"にてキアヌ・リーヴス演じるジャックの相方ハリーを演じていたJeff Daniels。人質になった時にジャックに足を撃たれて人質から解放されるという強引な技を魅せたあの人。そんな技があるのかと当時驚いたが…あれから、いい感じに老けてます。
母ジョーンを演じるのはLaura Linney。この人は"Short Term 12"や"Room"のBrie Larsonに似ていると個人的に思っているのだが…特に、すっぴんになると似ている。
二人の子供、長男のウォルトを演じるのはJesse Eisenberg。次男は俳優Kevin Klineと女優Phoebe Catesの息子であるOwen Kline。
当時、ノア・バームバックの嫁であったJennifer Jason Leighとフィービー・ケイツが親友だったことから、その縁で息子を借りるというかキャスティングしたらしいのだが…嫁の親友の息子に本棚の角でオナニーさせて精子をそこら中にばら撒く役をよくやらせたな…ノア・バームバックもアタマおかしいだろ…しかもビールにウィスキーにとアル中にさせてしまう。役だけど、それはどうなんだ…
本作以降、ウォーエンくんは役者の仕事をしていないところを見ると…やはりこの映画に関わったことで支障がきたしたのだろうと想像する。
さすがにね…本棚の角でオナニーは斬新だし、オモシロイんだけどね…こんなのが世界中で上映されたら、いくら役だとしても思春期に影響出るよね…周りからもツッコまれるだろうし…
最高だけど、最低でもある。
これぞサイレント図書館!
今までのオレ調べでは、1日12回オナニーというのが最高記録。ソイツの自己申告だからホントかどうか分からんが…果たしてそんなにできるのか…男子校生活では、くだらないそんな話ばかりが飛び交うのだが、さすがに本棚の角でオナッたことあるというエピソードは今まで聞いたことがない。
これまで世界基準でオナニーを考えたことがなかったけど、世界のオナニー事情も大した差がないのね…
さらに長男のウォルト…カフカを読んだこともないのに親父の受け売りだけで、知ったかぶり!さらにトンチンカンなこと言ったあとに、いきなりキス!舌を入れ過ぎと注意されてからの、マジマジと至近距離で顔を見つめ、
ウォルト
「そばかす、多すぎるね…」
(マジで最低やなコイツ!笑っちまう…)
彼女のリアクションも最高!
何言ってんのコイツ…という顔が素晴らしい!
ウォルト
「いや…普通だ」
(と慌ててのフォロー…遅ぇよバカ!)
別居後、キッチンで料理をする父。
ガッデム!ガチャガチャとする音に次男フランクが様子を見に行くと、キッチンの床に落ちた肉をフライパン返しで拾う父の姿…
はぁ情けねぇ…この甲斐性なしが!
クソ野郎具合に嫌気がさす。
兄貴に報告する次男フランク
「床に落ちた…」
動じない兄ウォルト。
この兄貴は父親に傾倒していて派閥としては父派。次男フランクは卓球ですぐムキになる父親を鬱陶しいと思っていて母派。
兄弟で派閥が分かれるのは分かる気がする。特に男兄弟だとね…弟は兄との差をつけたがるもんよね。
長男ウォルトの彼女と三人で映画を見る父。
その後のゴハンもちゃっかり同席する。そして会計の札がテーブルに来ると、彼女は良い子で自分の分のお金を出す…まさかね、そこは断るだろ?って思うと、何の躊躇なく、なんなら彼女の 顔すら見ずにお札を受け取る父…
クソ野郎だなコイツ!
父に傾倒していたウォルトだが、これで気づくか?そばかすが多いとか言うようなヤツだから同罪か…親子はかくのごとき似てしまうのか…
いやだねぇ…
次男フランクは、こっそりウィスキーをガブ飲み。さすがにウィスキーはキツイだろ…
ゲロ吐いてトイレで横になると鼻の中のカシューナッツがやっと取れる!前半の食卓シーンで鼻の中に入れて遊んでいたフランク。母に注意された時に、もう取ったと言っていたが…取れてなかったんか!?ここで取れたなんて…笑っちまうよ!それは…
ガキの頃は、確かに色んなものを入れて遊んでいたのを思い出す。チンコの皮の中に、おはじきを入れてたっけ…
なにが辛いって、こんなに甲斐性のないクソエロオヤジですら週の半分は子供と一緒にいたいという気持ちがあったこと…
夫婦の問題は当然、当事者同士で決めたらいいけど、子どものことは…こどもは産まれてくる親を選べないからね。2人の離婚ってなっても選べないよ。というか子供には離婚すら理解できないことなんだよ。自立できる歳でもないしね…だから、どちらかの世話にならなくちゃいけない。
こんなクソオヤジでも週の半分はオレに寄越せとキッパリ言うだけで嬉しいじゃないの…
ウチは放棄だよ…完全に。しかも、オレの目の前で母ちゃんを殴ったから、その時点で本人もオレには嫌われてると自覚してたようだし…
まぁクソオヤジのところには行かないけどさ、行かないけど、自分の子供だぜ?!まだ11歳とかだぜ…オレ。
親父と一緒に住んでたら、見事に本作のダメオヤジみたいに床に落ちたモノ食わされることになったと思うけど…
突然、急に他人になられても…
子供のオレはどうしていいかわからんよ…
どういう顔をすればいいのさ?
で、あなたはオレの何になるのさ?
オヤジ?戸籍上は他人になるのか?
今までキチンとそこに目を向けてこなかったかな…オレは逃げてたのかな…
ここらで向き合わなくてはいけないのかもしれない。
そう思わせるに十分な作品!まさに他人事とは思えない!自分には物凄い貴重な作品となる。
自分の幼き時をビンビンに感じながら、痛い痛い、胸がすっごく痛くなる映画。