最近の映画記録、TIFF4日目にみた「灼熱の体の記憶」のこと。ウィメンズ・エンパワーメントの一本で、コスタリカ映画。
3人の女性の口述を元に作られたある種の再現ドラマで、70代の老女が人生の「性」を振り返る…という建て付け。
全編で老女のボイスオーバーが被る。
主人公はモデルの3人から合成された人物。
彼女が自宅で、老境の性欲について語り、若い頃を思い出して子供時代から人生を振り返る。
この映画の面白い所は、終始自宅から出ないこと。家が人生の記憶の倉庫のように象徴されている。
通常の回想シーンなども使わない。
主人公が写真をきっかけに過去を思い出すと、カットを割らず目の前に子供時代の彼女が走り込んで来て、二人が同時に映る。
やや舞台演劇的とも言えるやり方で、思うままに時制を行き来する口述に追従する。
遊園地に行くシーンまで自宅内でなんとか見せていて面白い。
主人公は性教育をほぼ受けないまま最初の子供を産んでいたりする。
昔のラテンアメリカということもあり、女性は性の話はタブーで、罪悪感を植え付けられていて、今の基準からするとかなり酷いのだが、日本人は笑えないですね…
やや単調だが色々と発見があった作品。
余談。
冒頭、ボイスオーバーを背景にしてこの映画のファーストショットを撮るまでの流れ、ビハインドシーンで映画が始まるのだが、そこが意外な効果を生んでいた。