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幕末太陽傳のkoyaのレビュー・感想・評価

幕末太陽傳(1957年製作の映画)
4.5
この映画の存在を始めて知ったのは、和田誠さんの『お楽しみはこれからだ 2』で、高校生の時でした。
やっと観られましたね。

 監督は川島雄三ですが、共同脚本と助監督は今村昌平。
日活三周年記念・・・という映画で、オールスターキャストなんですが、なんといっても目玉は主役の居残り佐平次ことフランキー堺の軽さでしょう。ドラマーでもあった人だから、風呂の炊き出しの薪をくるり、とスティックのように回したりする
一瞬なんて、すごいなぁ。

 わたしは幕末ものに弱い・・・と常々書いていますが、この映画は品川の相模屋という女郎屋がほとんどの舞台になりますから、あまり政治的にどうのこうの、、、というのは出てきません。

 仲間をひきつれて、金もないのに女郎屋遊びのあげく・・・金ないから、働きますよ~~~と飄々としている佐平次。
元は落語だそうで、その会話のテンポなど、とても軽妙で、いつも誰かがしゃべっています状態。
時々、台詞が速すぎて聞き取れないことすらありました。

 女郎屋には、高杉晋作(石原裕次郎)などが居座っており、金も払わず・・・・と当時の無頼者・・・という感じでしたね。
部屋係になって、ひょいひょいと上手く立ち回る佐平次・・・・口がうまく、嘘も方便、、、あ、ひょいひょいひょい・・・と軽々と動き回り、いつの間にか、相模屋の一番の稼ぎ手に。。。。

 昔からいる部屋係は、当然おもしろくないけれど、なにかトラブルがあったとき、ささっと解決してくれるのは佐平次だけなので、文句も言えず・・・今、佐平次が営業マンだったとしたら、大変優秀な営業マンだろうなぁ、というとても現代的なキャラクターでした。

 さて、女郎屋では、南田洋子と左幸子が、一番女郎をはりあうライバル同士。
どちらも、佐平次さん、佐平次さん・・・と言うけれどそれも、ちょいちょいとかわす佐平次。
中庭があって、回廊があって、というおおがかりなセットを組んでいて、撮影など凄いのですが、仲の悪い南田洋子と左幸子がとうとう、つかみあいの喧嘩になるところなど、階段をくだり、中庭に出てひっかき、とっくみあうところを1シーン、1カットで撮ってしまったりして、テオ・アンゲロプロス監督の映画か、これは?

 しかし、佐平次は、いつも咳をしていて、結核持ちなのです。その薬を買うお金をためるんだ・・・と言って、女郎たちの誘いなど乗らない。そんな影をちらり、と見せる。ただのお調子者ではないのです。

 佐平次は、最後に「人を信用しちゃいけねえぜ」と言って相模屋を去る。
情があるようで、割り切っているようで、それでも、頭がよくて機転がきいて、でも、人を信じて情に流されちゃダメだ、、、、というこれまた現実的な人物像です。

 他にも小林旭とか、西村晃、二谷英明・・・など出ているのですが、一番びっくりしたのは、まだ若くて痩せている岡田真澄。
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