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星空の用心棒のtjZeroのレビュー・感想・評価

星空の用心棒(1967年製作の映画)
3.8
無実の罪で服役中の男が、父を殺された復讐のため、脱獄して敵の待つ決戦の地へ…。
牢を出たばかりだから、主人公は長髪に髭ボーボー、しかも背中からのショットが多い…開巻の十数分、当時のマカロニ・ウエスタンのトップ・スターであるジュリアーノ・ジェンマをまともに映さないのが巧い。無気味な復讐鬼が町に舞い戻ってくる、っていう雰囲気がよく出ている。
彼が帰還するまでをアクション主体でパッパッと見せ、到着するとまず忍びこむのが敵方の理髪店。
店主を銃で脅しながら、髪とヒゲを当たらせる…いつ喉を搔き切られるかというサスペンスの中で、主人公の過去や置かれた状況がジワジワとふたりの会話から効率よく分かってくる。
この始まりの20分位に象徴されるように、見せるべき所と隠すべき所、緩急の使い方などが自在。
その後も、主人公はかつての女を訪ね、昔のバリッとした衣装を身にまとう…ジェンマが徐々にカッコよくなっていく姿を画面で見せながら、物語はサクサクと進行していく。歯車がガッチリと噛み合っている感じ。気持い~い。
マカロニ西部劇って、ゲテモノやキワ物扱いされがちだけど、時折こうした川底の砂金のようにキラッと光る作品が見つかるから面白い。
いい加減に付けた様な邦題も、実は結構合っている。あの黒澤明の傑作を思わせる所もあるし、星☆がかなり重要な役を果たしてる。興味があるかたは、ぜひご覧あれ。
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