滝和也

相棒-劇場版- 絶体絶命!42.195km 東京ビッグシティマラソンの滝和也のレビュー・感想・評価

3.6
踊る大捜査線は巨大な弊害を残した。

そう、二度と空想的な活躍をする刑事を真面目に描くアクションが日本では作れなくなってしまった。相棒とはその時代の流れを逆手に取って成功したカウンターカルチャーである。本庁刑事だが、はみ出しもの、拳銃は撃たない。荒唐無稽な粗暴犯が少なく知能犯が多い。そのため理知的なキャラの代表ホームズとワトソンが必要となった。またそれに見合うシナリオが必要とされた。と勝手に予測している。実際は水谷主演の作品の原作が尽き新しいものを必要としており、兼ねてから再競演を熱望していた寺脇が名乗りをあげ相棒がスタートとされている。だが、あながち外れではないと確信している。踊る以後の刑事物は窮屈になった。誰もがサラリーマンだし、官僚的組織だと知ってしまった。その流れを変えたのが相棒だ。官僚的組織だがはみ出している人、変人ならいいよねと。事実水谷演じる右京さんは変人だ。だが熱血体力派の亀山演じる寺脇のコンビは最強のバディものを作り上げてきた。また水谷主演で余裕があったためか、かなり冒険的シナリオも多く、神回がテレビで続出。映画化となった。ここまでは知って頂きたい基本。で映画はどうか。神回とは行かぬものの、そこまでの相棒の集大成的な位置付けになった。それ故に初めてみた人間にはわかりにくい作品になってしまった。また少しでも一見さんもたのしめるようにアクションはいつもより入れた。そこじゃない気がする。いっそ相棒のファン向けに突っ込んだものがみたい!その声に気づいて2への流れができたと解釈できる。西田・水谷の名演技、寺脇ほか相棒ファミリーの頑張りは素晴らしいし相棒を見てから見てほしい。全部みている古参のファンからするとこの映画はファンへの贈り物だと思っている。
滝和也

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