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南
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『南』に投稿された感想・評価

netfilms

netfilmsの感想・評価

4.3
 大傑作。現代のBlack Lives Matter以前からこのような痛ましい事件はアメリカでは多数起きており、その中のテキサスで起きた一事件にシャンタル・アケルマンはにじり寄るのだが、対象への関わり方が完全に常軌を逸している。それはクライマックスのあの6分弱の重苦しい長回しの持つ根源的な怖さにある。前半部分にも僅かに登場するあのトラッキング・ショットは、前半部分では墓地までの移動というあらかじめ結論付けられた距離の移動でしかない。クレール・アテルトンは尋常ならざる長回しのシークエンスを序盤に数分だけ使う判断をしたものの、果たしてあのシークエンスをたった数分だけ使用しただけで良かったのかアテルトンはひたすら逡巡したという。結果、改めて浮かび上がったひき逃げを想起させるマテリアルはクライマックスに持って来る他なかったというのだが、その衝撃は今もなお色褪せない。

 シャンタル・アケルマンの映画は常に応答しない手紙のようで、アケルマンは既に天国に行った被害者と応答しない手紙を繰り返す。そのすれ違いの狂気にも似た視線をまざまざと見せつけるのがシャンタル・アケルマンのドキュメンタリーの並々ならぬ視点や距離で、それは実の母親のアウシュビッツの体験とも無縁ではない。迫害される人々の視線に強迫観念に囚われたアケルマンはどっぷり浸かっており、物語を語ろうとしない対象を浮かび上がらせる辺りが完璧な傑作となる。斉藤綾子先生は20数年前に初めて観た映画を今回改めて観て、最後の6分間のショットはアウシュビッツに強制連行される母親の思いを映像化したのではないかと話されていて、思わず悲鳴を上げてしまった。クレール・アテルトン曰く、白人による黒人が占有する教会の収奪は常態化していたらしく、今作のオープニングとラスト前に持って来た教会も収奪後の白人による教会だと聞いて、震えが止まらなかった。アケルマンは再度渡米を考えていたのだがその時点でマテリアルは揃っていたのだが、当初考慮していなかった追悼集会の様子を奇跡的にカメラに収めることが出来たという。2人には当初からビリー・ホリデイの『奇妙な果実』が念頭にあったらしいが、最後まで映画に『奇妙な果実』を入れ込むことはなかった。アケルマンの熱量は時に奇跡を呼び込むような感覚で、ドキュメンタリー3部作の中でも並外れた傑作である。必見!!
菩薩

菩薩の感想・評価

-
ヒッチハイクをしていた黒人男性が白人至上主義者が運転する車にチェーンで繋がれ約3.2キロ引きずられる道中で右腕と頭部が切断され無惨に殺害された事件、これを機にヘイトクライム防止法が制定されたとのこと。白人の保安官?なんか偉そうな人が確かにこの地域に人種差別は存在しているがそれは小さな問題に過ぎず経済的な問題の方がよっぽど大問題だ、と語るのが全てだと思う、自分達はその標的になる事は無いだろうから黒人がいくら死のうが「小さな問題」に過ぎず彼が言うところの経済的問題にもきっと人種差別がもたらす格差の問題はおそらく含まれない。こうした過程からBLMに辿り着くのは必然だと思うし、今般の都知事選の惨状を目の当たりにするに日本がこのなる日も近いのではないかと思わずにいられない。車載カメラが淡々と映し続ける車道、こうして被害者は死に至らしめられたのかと思うとあまりにも酷い。差別主義者にとっては人種=国で国=人種であるとの言葉が重くのしかかる。
reb

rebの感想・評価

3.3
日仏学院 シャンタル・アケルマン映画祭2024で鑑賞。
テキサスでジェームズ・バード・ジュニアという黒人が、白人至上主義者たちによってリンチの果てに殺害されたという事件を、地元の人たちのインタビューや追悼集会から綴るドキュメンタリー。
事件のあらましや被害者の写真を提示することはないが、事件の後でも悲しみや怒りを閉じ込めた人々の暮らしは続いており、その街並みには物悲しさが漂う。
被害者は車に繋がれ、長いこと引きずられた。ラストの、車からのでこぼこ道のロングショットは胸が苦しくなる。
今回の映画祭では、30年に渡ってアケルマン作品の編集を手掛けたクレール・アテルトンさんが来日され、貴重なお話を聞くことができた。
デルフィーヌ・セイリグの撮影の手伝いでアケルマンと出会った彼女は21歳の学生の時。彼女のことを当時33歳のアケルマンは「あの若い娘は誰?彼女と一緒に働きたい」とセイリグに言ったそうだ。
それから2人は親交を深め、長年に渡りアケルマンの仕事を支え続ける。
実際のアテルトンさんは、質問にひとつひとつ丁寧に答えてくれ、時々お茶目な面も見せてくれるとても魅力的な方だった。
中国語を長年学んでこられて、漢字の持つ奥深さ、そして漢詩のように無駄の無い簡潔な表現で全てを表すような編集を心がけていると。
本作の編集もアテルトンさんだが、無駄を省いた引き算の美しさという映像の中に、そこに流れている深い哀しみの河のようなストーリーがあって、ドキュメンタリーでありながら、豊かな作家性を感じられる作品であった。

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