記憶の戦争の作品情報・感想・評価

記憶の戦争2018年製作の映画)

기억의 전쟁/Untold

上映日:2021年11月06日

製作国:

上映時間:79分

4.0

あらすじ

「記憶の戦争」に投稿された感想・評価

nolose

noloseの感想・評価

3.3
読んでた本でおすすめされてたので鑑賞したが、もう少し韓国軍人にとってのベトナム戦争の記憶が描かれるものだと思ってた(アクトオブキリングみたいな)。
『記憶の戦争』という邦題は「ベトナム人被害者の記憶の中の戦争」というニュアンスで「加害者と被害者の記憶をめぐる戦争(状態)」ではなかった。
木蓮

木蓮の感想・評価

-
すぐれたドキュメンタリー。
戦争を勝者の視点でも敗者の視点でもなく、そこにずっといたのに声を無視されてきた人の視点から、文書には残らない、でも一生消えない記憶を紐解きながら語るという、イギル・ボラ監督だからこそ撮れたドキュメンタリー映画だったと思う。前作もぜひ観たい。

このレビューはネタバレを含みます

監督陣含む我々若い世代と実際に体験された方々、そして運動を続けてきた先輩方、どう記憶を継承し連帯していくのか。

タンおばさんの「私の人生は家族を弔うためにあるのではないのか」にモヤモヤ。
中学生たちの「勇気を出してきてくれてありがとう」「私達が責任もって謝らせるから安心して帰ってくれ」にモヤモヤ。
参戦勇士のおじさんの態度にモヤモヤ。

受け取り方は人次第。
しかしこのグラデーションは連帯か、分断か。

国家の謝罪ではない、私を傷付けたアイツらからの謝罪が欲しい……しかしその言葉はなかった。
認識の対立、つまり記憶の戦争は続く。
この争いの集結とは?
MR

MRの感想・評価

4.0
元軍人のあの気概というか、現役軍人のような血の気の多さにはビビった。犠牲者とその遺族はもちろんだけど、戦争直後は英雄として称えられて、数十年立って犯罪責任を問われる彼らもまた戦争による被害者だと思う。

国家が責任を果たすというのがどういう結果であるべきなのか。賠償金は二の次で、第一は加害の歴史を認め、戦争に反対するという意識が国民に現れていなくてはいけないのでは。過去の植民地主義や戦争が現在も差別、偏見、迫害という形で現れているし、国民が戦争を自分事として捉えないと同じ事を繰り返すはず。BLMが世界的ムーブメントになったように、どの人種差別もあってはいけない、それがまた戦争につながるという認識をどれだけ持てるか。

被害者が、一方では加害者だった―だから人に言えたもんじゃないとか、"お互い様"ではない。
監督が言っていたように、韓国のベトナム戦争参戦時の犯罪と日本の東アジア侵略、植民地支配、性奴隷制などは同一視してはいけない。でも、日本に問いかけるものはあるはず。

米国の同盟国としてベトナム戦争に加担し、大量の民間人を虐殺した韓国軍。参戦軍人の孫が、当事者に寄り添いながらこのドキュメンタリーを作ったことは、拍手を送るべきだと思う。日本で上映されることは意義が大きい。

このレビューはネタバレを含みます

映画祭で鑑賞

ベトナム戦争時に韓国軍人によって引き起こされた悲劇について被害者側から丁寧に取材していく。

印象的だったのは被害者のベトナム人女性が韓国を訪れた際、現地の中学生と退役軍人とで明らかに事件の認識が違うということ。
当時自分達の行動が正しかったと謝罪の意がない退役軍人に対し、歴史教育に上書きして事件を知った中学生達は被害女性を抱きしめて涙を流している。

事件の真相究明が目的ではなく、この事件をどう記憶していくか、次世代に伝えていくかを問いかけているように思った。

慰安婦問題にも通じるところがあるはずなので一度自分の認識を疑ってみなければいけない。
zat

zatの感想・評価

4.0
どの国、立場であっても、被害者にも加害者にもなり得る。植民地時代や慰安婦問題では被害者である韓国は、同盟軍として参戦したベトナム戦争においては加害者側。

かつて民間人虐殺が行われたベトナムのフォンニィ村で撮影された映像がどのカットも本当に美しい。凄惨な歴史が刻まれ、絶えず静かに鎮魂の祈りが捧げられてきた土地の人々や空気や光が繊細に掬い取られている。

被害者は証言する度にその想像を絶する悲惨な経験を記憶から呼び戻すことで、身を削るような苦痛に苛まれていること。なんとか気持ちを奮い立たせ、声を上げようとしている人物に対する敬意や配慮が、作品からもパンフからも窺える。制作側と被写体の人々の非対称な関係性って意外と観客は無頓着で他人事だったりする。

「ゆきゆきて、神軍」(1987)を観た時、何より第二次大戦で戦地に赴いた世代がこの頃まだこんなに元気(70代とか)なんだということが衝撃だったけど、この虐殺事件も1960年代の話だから退役軍人達がまだ皆すごく若い。更に若い世代の女性監督が今このタイミングでこの題材を取り上げて丁寧に作品化している。

タイトルがあまりピンと来なかったけど、英題はUNTOLD。「(語られることのなかった)記憶の(中だけに留められていた)戦争」というようなニュアンス?(韓国語題はグーグル翻訳したらWar of Memoriesらしく邦題の方が直訳。)

聾のおじさんが話す手話は自己流のものらしいが、かえって手振り身振りと表情から言語を超えてダイレクトに伝わってくるよう。手話のオーラルヒストリーって初めて観たと思うが、字幕付きの外国語映画にはない感覚にはっとした。聾の両親を撮ったという「きらめく拍手の音」もぜひ観てみたい。
 こんな酷い事件があり、それがまだ現在も続いていることを目の当たりにした。

ベトナム戦争中に起こった韓国軍によるベトナム民間人虐殺事件「フォンニィ フォンニャットの虐殺事件」
その生存者である3人が証言をしていきながら、韓国政府に提訴し戦犯である退役軍人たちに認めさせようとするが…。

妹や友人を失ったタンおばさんが証言をしていく。この事件自体68人の犠牲者を出しながら、韓国はこのような事件は全くないと語っている。

前半は証言が軸になり、後半はタンおばさんが韓国へ訪問し事件の概要を話しながら説得を試みる。しかし、退役軍人団体が邪魔をしたりなど話は進んでいかない。

やはり戦争の加害者側というのはまったく意見を聞かずに認めないことが分かります。日本やアメリカ、中国も加害者としての出来事は認めず、自分達が被害にあったことばかり。
そして韓国もそうでした。
特に老人に認めない傾向が多い。

それでも若者たちは様々な角度から事件を知り繋げようとしています。

映画のラスト、模擬裁判で自分が見たことを話すタンおばさん。涙ながら話し、辛い記憶が甦ります。ここで銃声が聞こえてくる演出。

監督のイギルボラは韓国の若い監督です。加害者側に立つ彼女がこのような映画を製作したことに非常に意義があります。黒歴史は作ってしまったものの、それを認め互いに手を取り合うことの重要さが、未来の戦争をなくすことにも繋がると思います。

未だに韓国政府が認めないというのも現状です。
これは日本にも大きく関わってくる他人事でないことです。
ぜひ多くの人に観てほしいです。
あお

あおの感想・評価

3.8
出町座にて。
ベトナム戦争下において民間ベトナム人に対して韓国軍がおこなったという「フォンニィ・フォンニャットの虐殺」の生存当事者を撮った作品。
『きらめく拍手の音』同様にイギル・ボラが撮る、被写体が台所で漬物やおかずを作るシーンの記録がすごく好き。
「誰も罪を償えない」。果たして我々は10万年後の安全を問えるのか?と指摘される原子力発電技術のリスクを個人的には重ねて思い浮かべた。戦争の発生はもっと密接な出来事として身に直面しうるよなと。
私たちは未来をどうしたいのか決められる立場にあるということを忘れないでいたいなー。
トラウマを抱えた人にカメラを向けて、トラウマを話してくださいということ ただただ聞くということ
ミク

ミクの感想・評価

4.5
丁寧に掬い取られた悲痛の声たちに、どこまで寄り添えられるか。声を上げた勇気やフラッシュバックによる苦痛を、傾聴し続けられるか。主要な製作陣が皆女性だった理由はとても大きい。

ベトナム戦争で派兵された韓国軍による民間虐殺事件。被害者が語るストーリーから音や匂いまで想像できてしまう生々しさに胸が張り裂けそうになった。

退役軍隊たちは『漢江の奇跡』の英雄として讃えられる。特需を受け、あくまで国の為だったんだと正当を訴える姿が痛々しく、到底腑に落ちないが、当時彼らに課せられた抑圧も真実なのだろう。

国家という最強の権利で起こしてしまった残虐な事実の反省は、個人個人に託されているのかもしれない。この物語は、南ベトナムで起きたという事も忘れちゃいけないと思った。
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