KnightsofOdessa

彼のイメージのKnightsofOdessaのレビュー・感想・評価

彼のイメージ(2024年製作の映画)
1.0
[] 10点

ティエリー・ド・ペレッティ長編四作目。ジェローム・フェラーリによる同名小説の映画化作品。コルシカ島で写真家として働くアントニアが自動車事故で死亡し、かつての仲間たちが葬儀に集まった…という冒頭がマジで謎なまま、物語は約20年前の1979年夏、18歳のアントニアが写真と出会い、パスカルという年上のテロリストと恋に落ちた時期に移る。テロ攻撃→逮捕→釈放という離別と再会を繰り返しながら、アントニアはパスカルやその仲間たちを献身的に支えているが、いかんせん目線が20年後のシモンに固定されているせいか恋愛にもイデオロギーにもパッションが欠如しており、当時の彼らが一体何を思って動いていたのかが全く魅力的に映っていないという致命的な問題を抱えている。過剰なナレーションが小説の行間を説明しているようでもあり、映像はただ文字情報を補完するだけにも見えてしまった。中盤では傷心のアントニアが自分探しのためにユーゴ内戦の安全圏を社会科見学するというクソ展開も登場して更にゲンナリ。自分探しをする傷心白人はアフリカかアジアに行くと決まってたはずが、ここでユーゴも入ってきてしまった。そういえば『英雄は死なない』とかいうクソ映画もそんな感じだった気がしてきた。終盤は内ゲバで組織が崩壊していく中で、ナレーション担当ニキが"俺達は一体何をやってるんだい?"というシーンがあり爆笑。分かってるならそんなこと言わせる前に自分で直してくれ。という感じで、最後の最後まで散漫で温度のない映画だった。一曲まるまる終わるまで無言で続く長回しとか上映時間の水増しにしか見えないし(『チャージマン研!』かな?)、車のトラッキングショットも最初のやつ以外は下手くそすぎて笑ってしまった。もうなんか褒められる要素がないんだが、どこにでも登場することで有名なアレクシス・マネンティが今回も登場しているってことだけでちょっと面白かったので10点差し上げます。
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