野

CURE キュアの野のレビュー・感想・評価

CURE キュア(1997年製作の映画)
4.5
誰?何?と反復して聞く間宮、社会に適合している自分を自分と了解した他者を催眠し、潜在意識に触れ、ロカンタン的嘔吐、アイデンティティの崩壊へ向かわせる。了解した自己、ペルソナからの逸脱、そしてXに首を切らせる。それはcureかもしれない。
メスマー、レイン、認知療法、分裂症関連の本が撮られていた記憶がある。いかにも間宮だと感じた。
保たれた現実から、錯乱した現実への微妙な遷移が良かった。現実でも錯乱した現実を抱えた肉塊が彷徨いていると考えると東京がディストピアに見えなくもない。いや、僕の精神病理の問題なのかな。
あと、ロケーションがすごく良かった、最後の蓄音機のある部屋よ、タルコフスキー味のある美しい部屋だった。ああいう廃墟と錯乱した現実って相性が良くてスッとする。
野