野

気狂いピエロの野のレビュー・感想・評価

気狂いピエロ(1965年製作の映画)
3.5
ストーリーはよく掴めなかった、それでもまとめようとするならば、ある夫婦がいて、男がそこから抜け出し、女とどこかへ行く。その道中、殺人を犯し指名手配にされるが、それでも2人は無気力にどこかへ向かう。最後には男が女を撃ち、男はダイナマイトで自殺する。

古い名作映画、セリフが詩的で難しいが、情緒がある。
男と女、それぞれ口ずさむ詩は性質が異なっており、時折2人はすれ違う。それでもまた2人は元通りになる。

とにかく画面が良かった。色彩が鈍くなく、それでいてアメリカの様な強烈な原色ではない。フランス映画の色彩。美女に銃、紳士に詩。それもいい。

物語が何章かに分かれているようだ。僕は7章が好きだ。拳銃と同じ名前の詩人。愛する、あなたがあなたなら。というようなタイトルから7章は始まる。あまり覚えてないが、美しい画面構成が、ひっきりなしに立ち現れていた印象がある。

ラストシーン、男は女を撃ち、顔を青く塗る。気狂いピエロだ。そのまま叫びながら岬に向かい、顔にダイナマイトを巻きつける。そのまま着火しあっけなく死ぬ。そのあと海が映し出されるが、それが異様に美しい。そのあと詩が流れる。北野武のソナチネにもこんなシーンがあった。おそらく影響を受けている。

車のシーンも良かった。愛の言葉、行為を与え合う。淡白に。

永遠に愛するかどうかは、死ぬまで分からない。ただ、今、愛してるでいい。みたいなセリフから2人の刹那性を感じた。

フランス映画はいつも退屈。だけど見終わって辺りを見渡すと、綺麗だったんだなと気づく。いや、頑張って見たからそう思いたいだけなのかもしれない。けど、綺麗だったし、印象に残っているから、まあいいか。
野