野

鏡の野のレビュー・感想・評価

(1974年製作の映画)
3.5
はじめてのタルコフスキー作品。
ネタバレフィルターを付けようと思ったが
ネタバレもクソもないほどストーリーが難解であった。
ストーリーを追おうとすれば、観るのを断念するしかないような非物語性に打ちのめさせられる。
この映画は詩なのであろう。
映画の台詞も詩であった。その詩も中々難解であった。それもそのはずで、詩が作られた時、時代も違えば、環境も現在の日本とは全く違う。そりゃ、スッと詩が入ってこないはず。私の感受性が乏しいだけかも知れない。
この映画で特筆すべきは、圧倒的な映像美。
モノクロームと鮮やかな緑の落ち着いた色彩が交互する。
緑が非常に美しい。霞んだような、水っぽいような、儚いような、そんな緑である。そして、構図も素晴らしいときたもので、絵として美しかった。
時折、バロック絵画を彷彿とさせるドラマチックな光と影の使い方が出てくる。それも全体的な微睡みに対するいいアクセントとなっていると思う。
絵としてはとても良かった。しかし、ストーリーや、心情把握、整合性などが追いかけきれず、少し観るのが億劫になっていた。
野