Ricola

並木道のRicolaのレビュー・感想・評価

並木道(1960年製作の映画)
3.4
ネオン看板風のオープニングクレジットがおしゃれ。
そして明かりが街に灯る。誰の元でも街の明かりは平等に照らしてくれるのだ。


刹那的で感情的な、少年が主人公。
「大人は判ってくれない」から一年経ったジャン=ピエール・レオが演じている。
あれから成長したものの、まだ大人になる過程である中二病っぽさが痛々しくも時に切なく見えることもある。

家出をしてアパートの屋根裏に住む少年は、同じアパートの住人の歳上のダンサーに憧れを抱く。
その少し背伸びしたような恥ずかしさのある感情に、こちらまで恥ずかしくなる。

そのアパートの他の住人たちも変わり者ばかり。芸術家や彼と同世代の少女とその家族が住んでいたり。
でもみんなが彼の家族代わりをしてくれて、その優しさは彼の心の拠り所となっているはずで、彼を心配して食事を振る舞ってくれる夫婦とのシーンはまるで本当の家族のように見える。

なんだかんだ社交的な少年は、知り合い同士を結びつけることもあり、それによってときにはいざこざも起こる。

オープニングのネオン看板の通り、少年がよく過ごすアパートの屋根にあるネオン看板が印象的である。
ついたり消えたりするそのネオンの明りの元での、若い恋人たちのやり取りがロマンチック。

ストーリーとしては少しごちゃごちゃしていて、少年の心情の動きにもうちょっとフォーカスしていたらのめり込めて観れたかもしれない。

全力で生きて、全力で感情に揺さぶられる少年。
ラストシーンの彼の行動と表情に、彼らしさが集約されていた。
Ricola

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