Ricola

幌馬車のRicolaのレビュー・感想・評価

幌馬車(1950年製作の映画)
3.6
モルモン教徒たちと旅芸人たち。価値観が全然違う人たちでの大移動に、二人の流れ者が護衛としてついて行く。派手なアクションなどはないが、雄大な大地と複数のコミュニティ間での友情や恋などが描かれている見ごたえのある作品だった。

オープニングクレジットの前にストーリー部分が挿入されることは、この時代の映画のなかでは珍しいように感じる。ある予感を抱きながら我々は、彼らの旅を見守ることになる。


この作品において、音楽は特筆すべき項目だろう。トレヴィスとサンディが旅の始まりで歌うシーンがあり、さらに道を進めていくと旅芸人たちの音楽を耳にし彼らを発見する。移動中にも彼らは皆で歌を歌い団結力を深める。バイオリンやアコーディオンに合わせてモルモン教徒たちは足踏みをしてテキサススターを踊る。先住民族たちが足踏みしながら火を囲って踊る。それぞれの文化の違いに戸惑いながらも、彼らはすぐにそれを受け入れ合う。このように、音楽が旅の節目に介在しており、人との出会いや仲を深めるきっかけとなっていることがわかるだろう。

荒々しい道を砂埃立てて、声をかけ合って前へ前へと進んでいく。急勾配の道も、川にも立ち止まることなく進んでいく。人間関係のいざこざや悪者の介入はあれど、旅を放棄することはない。
ジョン・フォードの作品のなかでも地味な作品と言われていることには正直否めないが、大移動による馬車や馬の迫力や人間模様など素晴らしい作品だった。
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