ひろ

オリンダのリストランテのひろのレビュー・感想・評価

オリンダのリストランテ(2001年製作の映画)
3.6
アルゼンチンの新鋭女性監督パウラ・エルナンデスによって製作された2001年のアルゼンチン映画

モスクワ国際映画祭で最優秀作品賞を受賞した

南米の映画は力強い作品が多くて、けっこう名作が多い。この「オリンダのリストランテ」も、そんな作品の一つだ。恋人を捜しにアルゼンチンにやって来たドイツ人青年は、国から離れ人生を見つめ直す。移民であるオリンダは、人生に憤りを感じていたが、ドイツ人青年の世話をして、人生を見つめ直す。そんな再生を描いた物語は、観た人の心に温もりを与える。

オリンダを演じたベテラン女優リタ・コルテスは、国際映画祭などで主演女優賞を受賞したが、面倒見のいいどこにでもいそうなおばちゃんだったのがよかった。ラテンの国の作品は独特だ。国民性が日本なんかと全く違うから、貧しくても明るく生きる力強さに、感動してしまう。

南米の映画は面白いけど、日本ではあまり紹介されていない。国際映画祭などで受賞したりしないと輸入されないのもあるけど、日本やアメリカみたいに、贅沢に娯楽にお金を使えないから、1年に製作する映画の数が全く違うのだ。この作品でも照明機材がないためか、全体的に薄暗い。アルゼンチンが経済破綻した年に製作されたにも関わらず、前向きな作品に感動せずにはいられない。

南米では重要な移民というテーマを扱った作品でもあり、郷土愛についても考えさせられる作品だ。このように、様々なことを投げ掛けてくる南米の映画は、経済大国の作る娯楽映画とは重みが違う。大量に作られる映画を、普通に映画館やDVDで観れる幸せを噛みしめながら、こういった作品を受け止めてもらいたい。
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