踊る猫

ロルナの祈りの踊る猫のレビュー・感想・評価

ロルナの祈り(2008年製作の映画)
3.5
評価が難しい作品だ。相変わらず無駄な部分を削ぎ落として、政治的メッセージを愚直に(良い意味でも悪い意味でも)伝えて来るところは流石ダルデンヌ兄弟といったところ。だが、その愚直さはストーリー的な旨味やショットの美しさを代償にして得られたものではないか、とも思う。こちらを唸らせる映画ではあっても、息を呑ませる瞬間を与えてくれる映画ではないのだ。ダルデンヌ兄弟としては真っ向から恋愛を描いた映画だったというが、その恋愛も何処かで見たかのような鈍い既視感を抱かせるものであり、それ以上の教訓を説明しているとは思いにくい。だが、こちらの政治的無知がそういう感想を抱かせるのかもしれないとも思うのでそのあたり剣呑だ。ダルデンヌ兄弟を論じるだけの力量は、皮肉抜きに私にはないのかもしれない。そんな感想を抱かせる映画だった。ヒロインがあまりチャーミングではないのも……というのはこちらの欲張りが出過ぎだろうか。
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