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ラウンド・ミッドナイトのLATESHOWのレビュー・感想・評価

ラウンド・ミッドナイト(1986年製作の映画)
3.5
デクスター・ゴードンが主演なので
渋いジャズ映画かと先入観あったが
ヴェルトラン・タヴェルニエ監督らしい
優しい視点で描かれた暖かな作品だった。
ハービー・ハンコックはともかく
まさかのスコセッシ監督登場には驚いた笑
ジャズでNYだからか。

調和のとれた人々を愛しながらも
決して陽が射す時間の世界には戻れないと悟っているジャズ・ミュージシャン達。
シケたツラを晒さず夜を生きる姿は孤独にして粋である。
音楽には疲れないが
生きることには疲れたと言う
ノッポのデクスター・ゴードンが
女の子と海辺を歩くシーンから伝わる温もり。
ジャズを知る人は
彼らミュージシャン達の人生を語る際
公からすれば幸せとは言い難い
生き方に焦点を絞るだろう。
どうしても破滅的な生き方や
一種の狂気に囚われた音楽への姿勢に
物語としての魅力を感じるだろう。
この映画もまた
アル中の老いたミュージシャンを
かつてドラッグ漬けだった
デクスター・ゴードンというテナーの大御所が演じることで
否が応にも説得力がある。

この世には優しさが足りない...
最後の台詞に感動する。
破滅的な生き方しか出来ない彼らを敬愛し
ひと時でも陽の当たる場所に手を繋いで連れて行く優しさ。
起伏のないストーリーが逆に良い。
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