言えない、この想いだけは。

住野よるが上梓した同名小説を、中川駿監督、脚本、奥平大兼、出口夏希等の共演により映像化した青春群像劇。
他人の心が見えてしまう主人公等の姿を描く。
原作は未読。主人公となる高校の同級生、大塚京（京）を奥平、三木直子（ミッキー）を出口、高崎博文（ヅカ）を佐野晶哉、黒田文（パラ）を菊池日菜子、宮里望愛（エル）を早瀬憩が演じており、主な登場人物はこの五人。
物語は、クラスの中でミッキーを見つめ、独白のナレーションが入る京の姿でスタートするのだが、その中で、ミッキーの頭の上に「！」がアニメか漫画かのように描かれたため、ファンタジー系作品が苦手な私としては、これが続くとキツイなと、その後の展開に不安を覚えたオープニングとなっている。
実は京は、「！」や「？」、句点や読点が見え、人の気持ちがわかる能力を持っている設定であり、以降、そんな京と、彼が想いを寄せるミッキーの恋愛物語を中心として展開するのかと思いきや、なんのなんの、ミッキー、ヅカ、パラ、エルそれぞれの視点による群像劇として進行、最初はファンタジー要素強めだった演出も、徐々に鳴りを潜めて行ったのは良い意味で意外だった次第。
その特殊能力に関して言えば、本作品の主眼ではなく、エルが学校に来なくなったことをきっかけとして、五人それぞれの想いが徐々に吐露されていき、相手のことをわかることと、それに対して対応できないもどかしさ、全てを理解したい気持ちとの葛藤等を、高校生ならではイベントである文化祭や修学旅行、卒業後の進路を通じて切り取っていき、見事に青春映画として成立させていたのは、冒頭抱いた印象が嘘のようであり、天晴の一言。
何より、地味で自分に自信のない京、クラスのヒロイン的な存在のミッキー、自分の心に向き合えないヅカ、予測不能な行動をとるパラ、そして内気なエルと、ややもするとステレオタイプになりがちなキャラクターを、主演五人にあてがきしたのではと思えるぐらい、皆高校生役を違和感なく自然な演技で表現していたのが素晴らしく、この五人の行末を最後まで見届けたくなったと同時に、実年齢でいくと早瀬が唯一の現役高校生で、他の四人の中では、出口が最年長であったのは驚いたのに加え、教師役を演じたヒコロヒーが、思いのほかと言っては失礼ながら、こちらもハマっていたのは、良かったところ。
終盤にある図書館でのやりとりたるや、この手の作品としては珠玉の一ページとなっており、終わってみれば、ややもすると青春時代の息苦しさで空気が重くなりそうなところを、ファンタジー要素で上手く緩急をつけていたかなと思うとともに、永野芽郁と河合優実のポジションをいずれは担うのではないかと勝手に思っている出口と早瀬の共演が心躍らせてくれ、作中にも出てきたフレーズ『恋しさと せつなさと 心強さと』のように、出口が篠原涼子の若い頃のように見えてきた良作。

自分の弱い部分を許せないなんて、こんなに悲しいことはない。

「君の膵臓をたべたい」の住野よるさんの同名小説の映画化
主演が、奥平大兼、出口夏希。『カランコエの花』『少女は卒業しない』の中川駿監督作品。
座組は、凄く良いチーム。
ビッグバジェットになって、中川駿監督のクリエイティブが失われるかと心配したが、そこまでではなく、中川監督の演出が活きた作品になっている。
人の心が少しだけみえてしまう、という設定を、「リアルにみえる」で表現されているのが、最初、良い印象ではなかったが、中盤から後半にかけて、それを活かす演出になっているのは、さすが。また、主演の2人の物語ではなく、主要5人の視点で描かれる物語の構成も良くできている。さすがの中川監督クオリティ。
高校生を撮らせると、中川監督はとても上手いのだけれど、なぜなのだろうと思ってしまう。商業映画ではありますが、かなり作家性もある作品。今年の日本国内の賞レースにノミネートされても良いと思います。
2025年5月31日＠MOVIX京都

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• #中川駿監督作品
• #中川監督の演出が良い

PLAY！やvillageで好きになってそっから追いかけてる奥平君と去年の赤羽骨子で一瞬で好きになった出口夏希のダブル主演なので鑑賞！
今年の映画の中で一番綺麗な青春‼︎
引っ込み思案で自分に自信が持てない高校生・大塚京は、ヒロインではなくヒーローになりたいというクラスの人気者・ミッキーこと三木直子が気になって仕方ないが、マイペースなパラこと黒田文と一緒に楽しそうにしている彼女のことを遠くから見つめるだけの日々を送っていた！京の親友で三木の幼なじみでもあるヅカこと高崎博文の存在を通して、卒業まで“友だちの友だち”として過ごすはずだった！そんなある日、内気なエルこと宮里望愛が学校に来なくなったことをきっかけに、5人の思いが動きだす…
なんて綺麗な映画なんだろ！悪役がいるわけでもないのになんか上手く行かない学生ならではのモヤモヤ感がめっちゃ共感できる！お互いに想いを秘めあい、普通なら見たくないものまでもそれも人のために行かせれる5人はすごいよ！感情・鼓動・想い・恋の糸とかを見えている世界を想像できる住野さんの流石の脚本‼︎
他人の気持ちが見えるのに自分の気持ちが分からないってのが今回の大きなテーマであって、恋愛だけでなく進路のことなどほんとうの自分がわからないのすごい共感できる！自分がどう振る舞えば相手がどんなリアクションするかは想像できないのに、アクションを起こしてからその反応だけが見えるのって案外辛いのかも！そしてこの映画が大切にしてるポイントは相手の気持ちは分かるけど無理に相手の気持ちをこじ開けないところだよね！5人のそれぞれの目線を辿りながら、「この人はこんなこと思ってるんだ」「え、この人にはそう受け止めちゃうんだ」とか今世界の学校でいじめが問題になることが多くなっていて、「相手の気持ちを考えて行動しよう」とか言う人が多い中自分はほんとに人の気持ちは完全に理解できないよね〜って思ってたけどこの映画を見たらこんな優しい世界線に感動してしまった！
今から活躍するであろう若手を集めてたくさんの要素が詰まっている本作はやっぱ綺麗の一言になってしまう！優しさの中には切なさや思いやり、友情などたくさんの今世界がみんなこんなんだったらなっていうことがあり、学生には必須で見て欲しい要素がてんこ盛りだった！
初めは恋愛映画なのかなって思ってたけど、これは恋愛が薄れるほど優しい青春映画だった！主演を務めた奥平君もいつもより弱気な性格でありながらピュアな些細な行動やわかりやすすぎる態度にニヤついてしまったw 出口夏希も安定の可愛さを誇りながらもどこか助けを求めているような表情に圧倒された！二人とも表情が素晴らしく感情移入しやすかった！そして今作で菊池日奈子さんというまぁ強気のまた今後が楽しみな若手が出てきたよ！これは今後も要チェック！
そして主題歌がちゃんみな！俺はちゃんみなすごいカッコよくて好きだけど、この主題歌は一瞬、ほんとにちゃんみななん？ってなるくらい綺麗な歌声でいつもと違った感じのジャンルですごい新鮮だった！ただ歌詞がまたちゃんみならしいメッセージ性のあるものですごく良かった！

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