2022.2.16
1987年の公開時、私は24歳。
ベトナム戦争のこともよく知らず、
この映画も理解できなかったことを覚えている。
主人公のDJエイドリアン・クロンナウアーのユーモアも分からなかった。
35年たった今、再鑑賞。
この映画がロビン・ウィリアムズとの出会いだった。
グーーーッモーニング、ヴィエトナム! ああ、これこれ。
相変わらず彼のユーモアは理解できない部分も多いし、
彼がベトナム人に下品な英語を教えるのは感心できないが、
彼の心情、というか、この映画の伝えたいことを理解できるようになっていた。
舞台は1965年のハノイ。
まだ、本格的な戦争状態にはない。
映画を観ている間に、軍が増派されてゆくのが、
テレビのニュースや放送局に打電されてくるニュースソースで分かる。
ジョンソン大統領とニクソン副大統領の時代。
クロンナウアーは彼らさえもギャグのネタにする。
機関銃トークの合間にご機嫌な曲をかけ、兵士たちの人気を得る。
ベトナムのアメリカ軍内でも検閲は行われていて、
不都合な情報は隠され、当たり障りのないニュースだけが流される。
自由の国アメリカでもそうなんだね。
クロンナウアーはラジオで事実を伝えようとするが、
検閲者と上官から妨害される。
この後ベトナム戦争が泥沼化することを私たちは知っている。
若い、中には幼さの残る笑顔の兵士たちがどんな目に遭うのか、
素朴に暮らすベトナム人たちとその美しい村々や田園がどうなるのか。
そこへ向かっていくことを思い、悲しくなる。
サッチモのWhat a Wonderful WorldをBGMに流れる映像に涙をこらえきれなくなる。
クロンナウアーが親しくなるベトナム人青年トゥアンが言う、
「敵?敵ってなんだ?殺しにやってきたあんたがたのほうが敵だ。
米兵はベトナム人を人間と思っていない、ただの敵だ。」
やりきれない、せつない気持ちで観終えることになった。
トゥアンを演じた彼が凄く良かった。
フォレスト・ウィテカー出てた、変わらないね。