みっちゃん

マークスマンのみっちゃんのレビュー・感想・評価

マークスマン(2021年製作の映画)
4.2
奇しくも『クライ・マッチョ』と同じ日に観た。
何が奇しくもって、どちらも老齢の男がメキシコ人の少年をアメリカへ送り届ける話だということ。
まったく味わいは異なるけれど。
リーアム・ニーソンが元海兵隊の狙撃兵、期待が高まる。

ジム・ハンソンはアメリカとメキシコの国境近くの貧しい牧場で愛犬と暮らしている。
妻を亡くし、酒びたりだ。

メキシコの麻薬カルテル(?そこら辺を見逃したか)から追われて国境を越えてきたメキシコ人の母親と息子と出会い、
銃撃戦で撃たれた母親から、息子ミゲルをシカゴの親戚のもとへ送り届けてほしいと頼まれる。
銃撃戦の際、ジムはカルテルのマウリシオの弟を殺していた。
ジムに恨みを抱いたマウリシオ一味は、アメリカに入国して執拗に二人を追う。

なぜ叔父がカルテルの金を横取りしたのか、なぜ母子が逃げなければならないのかが曖昧なのだけれど。
また、ミゲルがジムを責めたように、母子を見逃していれば逃げられたかもしれないのに、
正義感から引き留めたおかげで、母親は殺され、ジムもまた追われるようになる。
そのあたりの、物語の動機は無理くりだけれど、ま、仕方がない。

とにかく緊張感が途切れない。
見られた!車が故障して足止めを食った!場所を知られた!追いつかれる!逃げろ!
携帯電話を持っていないのは却って良かったとして、
クレジットカードを使って足跡が残ってしまうあたり、はらはらした。
ショッキングな悲しい場面もある。ワンコ…

はじめミゲルはジムに反発していたが、次第に信用するようになり、孤独な二人は心を通わせるようになる。
ミゲルが英語を勉強していたことも、観ているこちらを安堵させる。

しかし、国境警備員もアメリカの警察官も簡単に賄賂を受け取って、犯罪者集団を支援するわけ?
アメリカ国内各地にカルテルの協力者がいるようだし、絶体絶命だ。

ラストは…思い出すと泣けてくる。
あれで良かったのかな…
あのラストだからこそ心に刻まれたのかもしれない。

マウリシオが言った、俺は人生を選べなかったと。
犯罪者になるしかなかったということ。
メキシコってそういう国なんだろうな、アメリカから見れば。
マウリシオがジムの勲章を持っていくことが何かの伏線だったのか…
彼も正式な国の兵士になりたかったということだろうか。

リーアム・ニーソンも皺が増えて、少し老いた体(てい)だけれど、スナイパーぶりは頼りがいあった。
ミゲル役の子がまた良かったね。

監督ロバート・ローレンツは、クリント・イーストウッド主演『人生の特等席』の監督だった。
つながったねー。
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