特濃ミルク

ぼくは怖くないの特濃ミルクのネタバレレビュー・内容・結末

ぼくは怖くない(2003年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

 終わってみれば、少年が色んな恐怖に立ち向かい成長を果たす青春映画なんだけど、それまでは終始不穏な空気が漂う変なホラー映画という感じだった。特に序盤の穴を除くシーンやその穴に入って得体の知れない「何か」と交流するシーンなんかは本気で怖かった。
 虫とか動物への恐怖に似てるけど、表情が読み取れないから何をしてくるか分からないってのが一番怖い。穴での交流シーンではいつ噛みついてくるのかと画面の前でビクビクしていた。それから結局は大人たちが身代金目当てのために誘拐してきた子どもなんだという事が分かって(その誘拐という事実自体は恐ろしいにも関わらず)幽霊の正体見たり枯れ尾花という感じで、かえって安心してしまう所もあった。主人公も同じではなかったろうか。そこから恐怖のベクトルは村の大人たちへとシフトしていく…
 大人や同級生たちへの不信感、疎外感。地平線の果てまで続いているような、広大な牢獄としての草原。どこにも居場所がないようでいて、意外と近くにあったりするような、そんな少年時代の苦い感情を思い出した。本当に色んなものが怖くて仕方なかった。まあ今でもそのまま怖いものはあるけど…。とりあえず、そんなことを思う鑑賞になった。
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