殺し屋ひと筋45年(！)のおばぁが年相応の体の衰えにムチ打って頑張る韓国ノワール小説｢破果｣の映画化

一人で複数の敵をなぎ倒すアクションとかももちろんあるけどジョン・ウィック的な無双感とは違うしそれ自体の尺も全体のランニングタイムに対する割合は全然少な目、どっちかというと回想含む老い/孤独との向き合い心理ドラマを楽しむ感じの渋い作り

犬はたぶん無事じゃないです

2025年8月24日🇰🇷WATCHA

ベルリン国際映画祭にて。

年老いた男性の殺し屋の映画は多々あるが、老女の殺し屋の映画はあまりないかもしれない。自分は初めて見た。
アクションは良いけど回想シーンが多いので途中で良いテンポが止まってしまう感じがしなくもない。これ90分ぐらいだったら良かったかな。
老女版ジョン・ウィックになってたかもしれない。
てか、そう呼ばれそうな気もする。

幼い頃雪の中を拾われ暗殺者としてトレーニングされ育てられ、恐れを知らない自警団的殺し屋になったが、彼女が唯一恐れるのは老いと世代交代…

そりゃ生身の人間、普通に暮らしていたってガタが来るんだからホーンクローにだって身体の衰えは当然来るし。それでも殺し屋稼業しか自分にはないと。健康診断の結果を隠したりする殺し屋らしからぬ場面もあったりする。

アクション映画としてまあまあ面白かったけど、やっぱりフラッシュバックが多い割にそれが話にあまり絡まないから、せっかくの良いテンポがなぁーと思ってしまった。

原題は「破果」。4月30日に韓国で劇場公開され、地元の映画館で観覧。

同名小説が原作。（もちろん読んだことはない。）伝説と呼ばれる殺し屋の女。しかし、彼女はもう60代の老女となり、今まで積もんだ名声は脅かし始まる。そして彼女に敵愾心を抱いた若き殺し屋が現れる中、彼女には守べき存在ができ、全てを賭ける任務に挑む。

今まで見たことない老女の殺し屋。優雅で鋭いカリスマを誇る彼女の姿には一方、何か悲しい感情が滲み出る。年が寄るということは生の果てに向かって駆けつけること。つまり悲しいことかもしれない。

そして年が寄ることは、もう役に立たないことなのか？この作品はこの疑問に凄絶に答える。'いや、ある'と。人間には生の果てにもできることがまたある。と。

切ないのアクションドラマとしておすすめしたい。