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マネーボールのtorakoaのレビュー・感想・評価

マネーボール(2011年製作の映画)
2.8
プロ野球のスカウトの人達のアナクロな思考・古き悪しきものにメスを入れる、みたいなとこは興味深かった。故障で選手生命の危機を感じていた“傷物”を獲得するあたりも愉しかった。
が、思ったよりも爽快感がない。どんよりしっ放しなような。ジャケット詐欺な気がする。

主人公に焦点絞って個人のドラマにしたような感じになってると思うが、あんまり好感持てない主人公なのがきつかった。人の人生を一変させるようなことをゲーム感覚で気軽にやってるように見えるとこがあるのは話的に避けられないとしても、独裁者的なのと過去に囚われすぎてるみたいになってるのはもうちょっと緩和させといてくれてもよかったんじゃないかなー。

自信を持てずにいる朴訥な青年みたいなクリス・プラットが癒やしだった。まずすぎる守備も愛嬌といえば愛嬌か。出演者の中で彼だけ野球経験なかったそうで。うん、反応と身ごなしが明らかにそうだったので気づいてた。バッターとしてのほうはルーティンみたいなのとか割と様になってた。
年長の選手(役)のバッティング練習は、間近だとスピード感凄いもんなんだなーと何か感激してしまった。ほわああーすげええーて感じ。プロ選手経験ある人だそうで。スカウト班のリーダーみたいな人も元選手からスカウトだかやってたと言ってたような。さすが米国、野球経験者ゴロゴロいるのか。

ハイライトになる試合は面白かった。実話じゃなかったら総スカン食らいそうな展開で笑ってしまった。漫画とかでやったら何じゃそりゃあああってなるよなーこれ。

監督が頑なにハッテバーグを使う気はないと言ったことは実際はなかったそうだが、あのあたりくどくて厭味になってたので実際どうあれもうちょっと控えめがよかったな。
フィリップ・シーモア・ホフマンは出番も台詞もそう多くなかった中、表情や佇まいに感情を滲ませるような演技がとてもよかった。クリス・プラットのことも見直したし、観てよかったとは思う。

ブラッド・ピットはいい役者だと思うんだが、役柄とほぼ出ずっぱりに近いせいもあって途中で食傷気味になったというか、観てて疲れたかも。もうちょっとマイルドな感じでもよかったかなー。
私はあの三選手をもっと観たかったので、そっちにもうちょっと時間取ってほしかった。サブマリンというんですかね、物凄いアンダースローの投手にわくわくしたのだが、出番ほとんどなくて残念だった。芝居は無理な人だったのかなー。

どことなくくしゃおじさん的な感じがある娘、『レイ・ドノヴァン』の娘だよなと思って確認したらそうだった。ケリス・ドーシーさんφ(.. )

字幕:菊地浩司
吹替翻訳:宮川桜子
レンタルBDにビリー・ビーン本人(演:ブラッド・ピット)、著者の談話もある。アレックス・ロドリゲスさんの談話もちょこっと。

演:ジョナ・ヒルの元ネタご本人は、自分の役を肥ってる役者がやることが気に入らず、自分の名前を使うことを許可しなかったとwikiにあった。あれほど統計とか分析とかしてる頭脳明晰な人なら健康リスク考えてそれなりに節制してそうなもんだけどなーと結構違和感あってミスキャストな気はしていた。本人肥えてないようなので、そりゃ不満だったろうな。助演男優賞ノミネートされてたようだが、それほどの演技とは全く感じなかった。芝居しようとしてる役者としか思えず。
フィリップ・シーモア・ホフマンの、これ見よがし感や俺上手いだろ感なく背景に溶け込んでる佇まいが素晴らしくて、この人マジ巧いと多分初めて思ったので、彼のほうが印象強かった。初登場時だったかな、後になってあーあれフィリップ・シーモア・ホフマンだったかーってなる感じ、素晴らしいと思ったの。オーラが出てない、という言い方もできそうだけどそれを褒め言葉として使いたい感じ。
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