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美女と野獣のtorakoaのレビュー・感想・評価

美女と野獣(2017年製作の映画)
4.0
ルーク・エヴァンスが素晴らしい。舞台演劇的な芝居とミュージカル俳優な発声と歌唱力・表現力をいかんなく発揮しながら愉しんで演じている。観てて楽しい。テンション上がる。
何この水を得た魚感。あなたそういう方だったのですか早く言ってよ知りませんでしたよ痺れましたよ本当に。特典映像(レンタルBD)によると、デビューがミュージカル舞台でミュージカル経験豊富だそうな。何だよーこんな人いるならレ・ミゼラブル出してほしかったよー。この人でジャベール観たかったなー。アンジョルラスもいいなー。

彼のおかげで飯屋?の場面物凄く楽しかったし、夜襲場面もテンション上がった。元・人間の無機物達が歌い踊る晩飯の場面も楽しかった。

話はまあ予定調和でしかない感じで、もうちょい何でお互い心を寄せるようになったか過程のエピソードあったほうが良かったんじゃ?と思うものの、ディズニーにしては強引だなとかヒロインいけ好かないなとか思うことが少なめで、これまで観たディズニー作品中ダントツでよかった。喋る無機物が出てくるゆえか動物と会話したりしないしな。

とはいえ。あんなガサツな男と私が結婚なんてあり得ない、みたいなことを言いながら腹立ち紛れに豆か何かを通りにまで撒き散らしてたのはどうかと思ったが。あんたと飯食うぐらいなら死んだほうがマシと言うとことかも。強い女性ってのはこういうことじゃないだろう。とよく思ってる気がする。
あと、野獣は存在するぞホラホラこれ見ろ、からの優しい人なのよ、では、あらそうなのじゃあ安心ねと思う人はほぼいないと思う。
野獣も、唐突に使用前・使用後みたいになって間がなさすぎて感情移入しづらいし思い入れなど湧かない。

エマ・トンプソンはミスキャストだったと思う。決して下手ではないが、主役二人のダンスシーンの曲が一曲まるまるソロ歌(影コーラス)で、それを心地よく聴かせられる程の歌唱力ではない。どうせ人の姿ではほとんど出てこないんだから知名度度外視でミュージカル俳優とかから探すなり、聴かせる歌唱力の人をキャスティングすべきだったと思う。彼女は声の演技でもキツい感じの印象あるし。

歌も吹替入り、英語字幕入り。ポット夫人の吹替は岩崎宏美さんで、優しげなお母さん感でかなり良かった。彼女は母の慈愛が感じられるファンテーヌ役(帝劇レ・ミゼラブル)がこの上なく素晴らしかった人なので、これはナイス人選。島田歌穂もハタキで出てる模様。あんまり歌うとこなくてちょっと残念。濱田めぐみ、村井国夫もレ・ミゼ出演経験者かな。藤井隆は必要充分な歌唱力だろうとは思うが、表現力と芝居は経験不足感あった。

レンタルBDに映像特典あり。映像トリックなしに今まさに歌って芝居して動いてるリハーサル風景が観れて感激だった。ミュージカル舞台の醍醐味はそれだと思う。
ミュージカルは何故歌い踊るのか?と思ってる人は一度生で観劇してみれば多分わかるのではないかと思うが、このリハーサル風景でもちょっとわかるかもしれない。
歌唱による表現と躍動感、それぞれが役割を演じながら連携を見せる一体感、今まさに目の前で行われ体感できている高揚感。ストレートプレイでは出せないような迫力があるのです。まあ、映画は派手な展開や演出が可能だから映画作品でミュージカルをやる意義はそこまでないかもしれないけど、舞台演劇にはあるんだよー。

字幕:松浦美奈
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